研究課題/領域番号 |
23K15391
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
細川 友誠 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40898350)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脂肪組織 / 代謝物 |
研究実績の概要 |
脂肪細胞特異的LTA4H過剰発現マウスの血漿および脂肪組織においてLTB4濃度に変化が見られなかった。そこで、LTA4Hのもう1つの標的分子であるトリペプチドProline-Glycine-Proline (PGP)の産生量に変化がないかどうか、評価を行うこととした。PGPおよびその代謝産物であるジペプチドGlycine-Proline (GP)について、国内で濃度測定が可能な施設を見つけられなかったため、本学の質量分析総合センターにおいて測定系の樹立を依頼し、本年度の途中に確立に至った。本測定系を用いて、脂肪細胞特異的LTA4H過剰発現マウスのeWATのPGP濃度、GP濃度、GP/PGP比(LTA4Hのアミノペプチダーゼ活性の簡易的指標)を評価した。すると通常食飼育下で脂肪細胞特異的LTA4H過剰発現マウスのGP濃度は対照群と比して有意に増加した。また高度肥満症のヒトの内臓脂肪組織においても、脂肪組織中Lta4H遺伝子発現量は、GP/PGP比と有意な相関を認めた。これらのことから、脂肪組織でのLTA4H産生量とアミノペプチダーゼ活性能が相関する可能性がマウス・ヒトどちらでも示された。これまでの研究で、同マウスが高脂肪食飼育下で、脂肪組織への免疫細胞浸潤の程度に変化を生じること、およびインスリン感受性などの代謝表現型が改善する事を見出しており、PGPやGPが、直接的にこれらの表現型に関わるのかを様々な実験系で現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪細胞におけるLTA4Hの過剰発現に伴う代謝改善機構の鍵分子となりうる候補の1つを抽出することに成功した。今後その評価を行うことで、目標とする「脂肪組織の健康的増大」の機序解明に近づくことが期待でき、計画は概ね予定通りに進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は現時点で、「LTA4H の産生量の増加はLTB4産生を促進しない一方でアミノペプチダーゼ活性を増強させる」可能性を見出しており、PGPやGPのみならず、LTA4Hのアミノペプチダーゼ活性の標的分子になりうる低分子量のペプチドの探索も必要になると考える。上記のようにPGP・GPの代謝への影響も探索しつつ、網羅的なペプチド探索にも注力することが本課題の更なる進展につながるといえ、ジペプチドの網羅的測定など、様々な方法の実施を検討している。
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