研究課題/領域番号 |
23K15392
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
馬越 真希 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(RPD) (20789672)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / フレイル / 副腎 / ステロイド |
研究実績の概要 |
主要な内分泌臓器である副腎は、内外のストレスに応答してホルモンを分泌し、生体の恒常性を維持している。副腎は3層構造を呈する皮質と髄質より構成され、皮質では層特異的にステロイドホルモン(ミネラルコルチコイド、グルココルチコイド、副腎アンドロゲン)が産生され、髄質ではカテコールアミンが産生される。ホルモン過剰状態では、ストレス応答性が破綻し、様々な加齢性疾患を引き起こす。今年度は、LC/MS/MS法を用いて、網羅的ステロイドミクス解析を実施し、クッシング症候群(コルチゾール産生副腎腫瘍)およびアルドステロン産生腫瘍の患者を対象として、副腎由来ステロイド代謝産物がどのように骨粗鬆症に関与しているのかを検討した。コルチゾール産生副腎腫瘍の患者では、コルチゾールのみならず、腫瘍に由来するミネラルコルチコイド代謝産物(11-デオキシコルチコステロン)の過剰や、腫瘍に付随する萎縮した副腎皮質に由来するアンドロゲン代謝産物(アンドロステロン・グルクロニド)の欠乏が骨粗鬆症リスクに協調して影響することを解明した。特に、アンドロステロン・グルクロニドは、加齢や慢性ストレスにおいても変容し得るため、副腎における加齢を示す指標としての可能性が示唆された。副腎クッシング症候群では、副腎腫瘍と萎縮した付随副腎の双方に由来するステロイド代謝物が重要な役割を担っていることが明らかとなり、ステロイド骨粗鬆症の病態において新たな洞察を提供する臨床的意義の大きい成果と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
副腎クッシング症候群を対象としたステロイドミクス解析を実施し、ステロイド骨粗鬆症の成因解明に向けた成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
副腎クッシング症候群を対象としたステロイドミクス解析により、骨強度に寄与するステロイド代謝産物が同定された。今後は健常者での検証を実施し、バイオマーカーの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の試薬の納期が年度をまたいでしまい、次年度使用額が発生した。消耗品(試薬)の購入に充てる予定である。
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