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2023 年度 実施状況報告書

グルココルチコイド受容体からのテザリング作用による概日リズム調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K15405
研究機関筑波大学

研究代表者

村山 友樹  筑波大学, 附属病院, 病院講師 (80869248)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワードGR / 糖質コルチコイド / Nr1D1 / 時計遺伝子
研究実績の概要

糖質ステロイドホルモン(GCs)は副作用が克服すべき命題となっている。Glucocorticoid receptor(GR)は核内受容体でありそのリガンドはGCsである。Clock/Bmal複合体はNr1d1プロモーターのみならず、様々な内分泌系や代謝系を調節するホルモンや酵素の遺伝子上流に存在するE-boxに結合することも知られているが、それらの発現調節におけるGRによるテザリング作用ついては明らかではない。本研究ではGRの標的制御遺伝子とClock/Bmal複合体の標的制御遺伝子を網羅的に比較解析し、生理的役割を解明することを目的とし、マウスの肝臓において抗GR抗体、抗Clock、抗Bmal抗体を用いたChIP-seqを行い、ゲノムワイドで網羅的な結合領域の探索とそれら結果の比較を行うことで、GRとClock/Baml複合体のそれぞれの標的制御遺伝子の重複と差異を明らかにし、Clock/Baml複合体の標的遺伝子の中で、GRもしくはGCsにより調節を受ける遺伝子の中でClock/Baml複合体が結合するE-Box近傍にGR結合配列を持たない遺伝子を絞りこむ。これにより新たなGRからClock/Bmal1複合体へのテザリング作用が及ぶ遺伝子の同定ならびに代謝調節と概日リズムとの新たな接点を見出すことを目的とした。具体的には下記の3段階により研究を進めた。
[1]抗GR・Clock・Bmal抗体を用いたChIP-seq解析(標的遺伝子の探索)[2]GRからClock/Bmal1へのテザリング作用が及ぶ候補遺伝子の選定[3]過剰発現・RNAiによるフェノタイプ解析:今年度は予定通り[1]について研究を進めることができた。
[1]抗GR・Clock・Bmal抗体を用いたChIP-seq解析(標的遺伝子の探索):GRの合成リガンドであるデキサメタゾン投与群、非投与群のマウスを用意した。各群マウス肝臓より明期ならびに暗期において肝臓サンプルを採取し、各抗GR・Clock・Bmal抗体を用いたChIP-seq法や抗体を組合せたReChIP-seq法により、網羅的なGR・Clock・Bmalの各標的遺伝子探索を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画としていた3つの項目のうち1つを終了できたのでおおむね順調と考える。
[1]抗GR・Clock・Bmal抗体を用いたChIP-seq解析(標的遺伝子の探索)
GRの合成リガンドであるデキサメタゾン投与群、非投与群のマウスを用意した。各群マウス肝臓より明期ならびに暗期において肝臓サンプルを採取し、各抗GR・Clock・Bmal抗体を用いたChIP-seq法や抗体を組合せたReChIP-seq法により、網羅的なGR・Clock・Bmalの各標的遺伝子探索を行うことができた。

今後の研究の推進方策

計画としていた[1]を終了できたため、予定通り[2][3]についての研究を進める予定である。具体的には下記の通りである。
[2]GRからClock/Bmal1へのテザリング作用が及ぶ候補遺伝子の選定:得られたChIP-seq解析の結果を用いて各群間での標的遺伝子の比較を行い、GRとClock/Bmal複合体のそれぞれの標的制御遺伝子の重複と差異を見出し、Clock/Bmal複合体のピークが存在し、かつデキサメタゾン投与依存的にGRにおけるピークが増大する領域を近傍に持つ遺伝子を抽出する。その後、ChIP-qPCR法にてChIP-seqの結果の妥当性と再現性の確認を行う。さらに、これらにより絞り込まれた各遺伝子がGRからClock/Bmal1へのテザリング作用によって制御されている標的遺伝子であるかの確認を、各遺伝子のプロモーター/エンハンサーを用いたルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて行う。GR 結合配列の有無に関してはモチーフ解析WebツールJASPAR(http://jaspar.genereg.net/)等を使用して判断する。
[3]過剰発現・RNAiによるフェノタイプ解析:上記により絞り込んだ標的遺伝子に対し、アデノウイルスを用いて過剰発現とノックダウンを肝臓で行い、脂質代謝を中心に概日リズムも含めた表現型を明らかにし、GRの作用にどのように介入出来たかを検証する。

次年度使用額が生じた理由

令和5年2月にReChIP-seq法の再現性の確認実験を行う予定であったが、分析機器の不具合により実験が遂行できず、次年度使用額が生じた。このため、ReChIP-seq法は令和6年度に行うこととし、次年度使用額はその経費に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] <scp>GR‐KLF15</scp> pathway controls hepatic lipogenesis during fasting2023

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Yoshinori、Murayama Yuki、Aita Yuichi、Mehrazad Saber Zahra、Karkoutly Samia、Tao Duhan、Katabami Kyoka、Ye Chen、Shikama Akito、Masuda Yukari、Izumida Yoshihiko、Miyamoto Takafumi、Matsuzaka Takashi、Kawakami Yasushi、Shimano Hitoshi、Yahagi Naoya
    • 雑誌名

      The FEBS Journal

      巻: 291 ページ: 259~271

    • DOI

      10.1111/febs.16957

    • 査読あり
  • [学会発表] in vivo Ad-luc法とTFEL scan法を用いたニュートリゲノミクスへのアプローチ2023

    • 著者名/発表者名
      武内謙憲、矢作直也、會田雄一、Mehrazad Saber Zahra、Karkoutly Samia、Tao Duhan、方波見京香、Ye Chen、Wang Xinyu、村山友樹、志鎌明人、升田紫、泉田欣彦、川上康、島野仁
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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