今後の研究の推進方策 |
ex vivoが安定的にできるように、組織スライス技術の向上を目指す。その上で、下記検討予定である。 (1)胃癌切除検体を使用し、ex vivoを継続する。 (2)癌関連マクロファージはM1とM2が知られており、ともにtumor phagocytosisを有するが、M1の方が腫瘍貪食能やtumor phagocytosis活性が高いとされる (Zhang M, Hutter G, et al. PLoS One 2016)。先の我々の研究でTGFBIはCD163陽性マクロファージから産生することが示されたが、CD163陽性マクロファージはM2より誘導される。抗TGFBI抗体を使用することで、腫瘍内微小環境のM1/M2比を改善するか検討を行いたい。またマクロファージに発現しているSIRPαと癌細胞に発現しているCD47が結合すると、マクロファージの貪食作用が抑制されることが知られている(Advani R, Flinn I, et al. N Engl J Med 2018)。そこで抗CD47抗体を投与することにより、抗腫瘍効果や免疫細胞、また癌間質における癌微小環境の変化について、ヒト体内を疑似的に再現したex vivoにて検討を行いたい。その上で抗CD47抗体と抗TGFBI抗体の併用意義についても同様の検討を行いたい。 (3)免疫系ヒト化免疫不全マウス(hCD34+細胞移植NOGマウス)を使用し、胃癌細胞株を使用した腹膜播種モデルマウスを確立する。このマウスを使用し、抗TGFBI抗体、anti-mouse PD-1抗体、ならびに抗TGFBI抗体とanti-mouse PD-1抗体の併用投与を行うことで治療効果を増強できるかを検証する。抗TGFBI抗体がどのシグナル経路に関与してanti-PD-1抗体の治療効果を増強させるのかを、FACS解析、次世代シークエンス解析で明らかにする。
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