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2023 年度 実施状況報告書

肺癌進展における細胞外マトリックスと癌関連線維芽細胞の役割の解明と治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K15554
研究機関大阪大学

研究代表者

神崎 隆  大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (10779060)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワード肺癌 / 腫瘍微小環境 / 癌関連線維芽細胞
研究実績の概要

癌関連線維芽細胞(CAF)に高発現する遺伝子THBS2及びFHL2の機能解析を行い一定の結果を得た。細胞外マトリックスを産生する癌関連線維芽細胞(CAF)に高発現する遺伝子THBS2に着目し実験を進めた。肺腺癌細胞株A549及びH358を用いた実験において、recombinant THBS2は肺癌細胞の遊走を抑制することが示された。肺癌の癌関連線維芽細胞を不死化し細胞株を作成し、CRISPR/Cas9システムを用いてTHBS2ノックアウト細胞THBS2KO-CAFを作成した。RNA sequencingを行いTHBS2KO-CAFで発現が抑制されている複数の遺伝子を同定した。更に、CAFに発現し癌の進展に関わる可能性がある分子としてFHL2を同定しその機能解析を行った。既存の公開されているsingle cell RNA sequencingのデータベースを用いて解析を行ったところ肺組織の中では主に線維芽細胞にFHL2が発現していた。FHL2KO-CAFを用いてin vitroでのFHL2の機能解析を行ったところ、①In vitroにおいてCAFのPDGF-BB刺激による遊走能がFHL2KO-CAFにて低下する②In vitroにおいてCAFの肺癌細胞の遊走能促進能力がFHL2KO-CAFにて低下する③in vitroにおいてCAFの分泌物による血管新生促進能力がFHL2KO-CAFにて低下することが判明した。以上の結果に基づき、CAFに発現するTHBS2及びFHL2の機能解析を引き続き行う方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

癌関連線維芽細胞(CAF)に高発現する遺伝子の同定及び機能解析に関しては順調に進展したが、ヒト肺組織を用いた脱細胞化肺スキャフォールドの作成及び培養については遅延している。肺癌症例の切除肺の肺組織を用いて,脱細胞化肺スキャフォールドの作成を試みた。予備実験として過去にブタ肺を用いて検討した条件を用いたが、同条件でヒト肺を培養するにはさらなる条件検討が必要なことが判明した。病的肺では正常肺と違い組織が物理的に硬い(間質性肺炎)、あるいは脆弱である(慢性閉塞性肺疾患)ことが原因であると考えられた。

今後の研究の推進方策

CAFに発現するTHBS2及びFHL2の機能解析に関しては、①THBS2KO-CAFにて発現が抑制されている遺伝子の機能解析②FHL2KO-CAFの分泌蛋白の解析(Wild type CAFとの比較)と分泌に差がある蛋白の機能解析を引き続き行う方針である。ヒト肺組織を用いた脱細胞化肺スキャフォールドの作成及び培養に関しては、①肺組織の保存液の種類の検討②保存温度と保存期間の検討②スライス厚の検討③培養条件(酸素濃度、二酸化炭素濃度、培養液の組成)を引き続き行う方針である。

次年度使用額が生じた理由

令和5年度に計画した実験経費に関しては、費用が掛かる実験として①マウスを用いた動物実験②CAFの培養上清中の蛋白アレイを含んでいたが、実験の進捗状況より上記は令和5年度内に行わなかった。これらの実験は次年度に予定している。

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公開日: 2024-12-25  

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