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2023 年度 実施状況報告書

血中エクソソームmiRNAを標的にした慢性移植肺機能不全の新たな早期診断方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K15556
研究機関岡山大学

研究代表者

塩谷 俊雄  岡山大学, 医学部, 客員研究員 (90851246)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード肺移植 / 慢性移植肺機能不全 / マイクロRNA / エクソソーム / エクソソームマイクロRNA
研究実績の概要

2016年から保存してある肺移植後患者の血液検体よりエクソソーム単離および、エクソソームに含まれるマイクロRNA(exo-miRNA)を行い、手技の安定化を確保することが出来た。
次に、慢性移植肺機能不全(CLAD)診断時およびその1年前の血液検体が両方そろっている9名のうち、各背景因子がマッチングしたCLAD患者3名および非CLAD患者3名を対象として、探索的研究を行った。exo-miRNAよりマイクロアレイを実施した結果、7種類のmiRNA(miR-17-5p, miR-150-5p, let-7b-5p, let-7c-5p, miR-122-5p, miR-126-3p, miR-185-3p)が標的exo-miRNAとして選定された。
その後、検証的研究として、これらmiRNAの発現量をqPCR法を用いて、CLAD患者および非CLAD患者間で比較した結果、miR-17-5pおよびmiR-150-5pの発現量がCLAD患者で有意に上昇していた(miR-17-5p, P<0.0001; miR-150-5p, P=0.0005)。CLAD診断における有用性に関して、ROC解析を用いて検討したが、miR-17-5p(AUC 0.92)、miR-150-5p(AUC 0.86)といずれのマーカーもCLAD診断において良好な検出力であった。CLAD発症1年前の血液検体に関しても同様の解析を行ったが、1年前に関しては両郡間において有意差を認めなかった。miR-17-5pおよびmiR-150-5pは、どちらも線維化に関係するmiRNAとして、肝臓および腎臓、心臓で報告されているmiRNAである。CLADも移植肺に線維化を来すことで発症すると報告されており、これらmiRNAの発現量がCLADの新規バイオマーカーとなり得る可能性があると思われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究初年度に実施することとしていた、肺移植後CLADにおけるexo-miRNAの網羅的解析、標的exo-miRNA(miR-17-5pおよびmiR-150-5p)量の経年的変化の評価とCLAD発症の有無による比較検討はすでに実施されている。

今後の研究の推進方策

標的miRNA(miR-17-5pおよびmiR-150-5p)における追加検討として、CLAD診断基準とされている一秒量、努力肺活量、全排気量のベールライン変化率との相関関係を評価する。また、サブグループ解析として、脳死肺移植後と生体肺移植後のCLADのexo-miRNA量の評価や、CLAD亜型におけるexo-miRNA量の違いも検討する予定としている。
CLADによる肺障害の程度や進行度にexo-miRNAがどのように関わってくるか、検討する。

次年度使用額が生じた理由

先行研究で未使用であった物品を利用することにより、物品費が予想よりかからなかった。
翌年度はサブグループ解析や追加検討を行っていく必要が出てくるため、次年度使用額および翌年度分の助成金を追加研究における物品費として使用する予定である。また、ある程度結果が出た段階で中間報告も行う予定であり、その旅費としても使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 血中エクソソームmicroRNA-17-5pとmicroRNA-150-5pは慢性移植肺機能不全の発症に関係する2024

    • 著者名/発表者名
      川名伸一、杉本誠一郎、調枝治樹、田中真、梅田将志、林達也、柳光剛志、氏家裕征、久保友次郎、橋本好平、枝園和彦、諏澤憲、三好健太郎、山本寛斉、岡崎幹生、豊岡伸一
    • 学会等名
      第40回日本肺および心肺移植研究会
  • [学会発表] Exosomal Microrna-17-5p and Microrna-150-5p in Plasma as Diagnostic Markers of Chronic Lung Allograft Dysfunction After Lung Transplantation2024

    • 著者名/発表者名
      Shin-ichi Kawana, Seichiro Sugimoto, Haruki Choshi, Shin Tanaka, Masashi Umeda, Tatsuya Hayashi, Tsuyoshi Ryuko, Hiroyuki Ujike, Yujiro Kubo, Kohei Hashimoto, Kazuhiko Shien, Ken Suzawa, Kentaroh Miyoshi, Hiromasa Yamamoto, Mikio Okazaki, Toyooka Shinichi
    • 学会等名
      ISHLT 44th Annual Meeting and Scientific Sessions
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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