研究課題/領域番号 |
23K15598
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
神谷 諭史 広島大学, 病院(医), 助教 (80816348)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オピオイド感受性 / 最適な鎮痛レベル |
研究実績の概要 |
MECKの応用として主に二つの研究が進行している。 一つ目は、食道悪性腫瘍手術後の患者を対象としてMECKを指標とした適切なオピオイドによる疼痛管理の研究を行った。計20例の患者を対象して術前と術後にMECKを計測した。術後の疼痛管理に必要なオピオイド量とMECKが高度に相関していることを確認した。この結果を海外学会での発表、ならびに論文として報告予定としている。この結果を基とし、さらに食道悪性腫瘍手術以外の術後疼痛管理への応用を計画段階にある。 二つ目として、研究実施計画に記載の如く、オピオイド感受性指標であるMECKを用いて事前に決定したオピオイド量で麻酔維持を行い、手術侵襲に対する有害な交感神経反応が抑制されることを確認する研究の計画を立てている。未承認の医療機器を用いた研究ゆえ、計画段階で相応の時間を必要とされている状況である。委員会での審査終了後にただちに研究開始と出来る準備は揃っている。引き続き、審査に向けた計画書の作成を行う。 その他、オピオイド感受性の個人差はある種の遺伝子多型の有無によることが提唱されていることから、被検者からは、20 mLほどの採血を行い、これを検体として遺伝子多型の有無を検索すると計画書に記載している。遺伝子多型をもとにした場合と上に述べたMECKをもとにした場合でのオピオイド感受性指標の両者を作成しその比較を行う予定のうち、遺伝子多型の同定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オピオイド感受性指標であるMECKを用いて事前に決定したオピオイド量で麻酔維持を行い、手術侵襲に対する有害な交感神経反応が抑制されることを確認する研究に関しては、実施開始出来ていないためやや遅れていることは否めない。しかし、その他MECKをオピオイド感受性指標とした研究を複数進められており、一部ではデータを取り終えて論文化に着手出来ている課題もある。さらに遺伝子多型を含めた研究においてもその同定は着実に進んでいる。よって、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、オピオイド感受性指標であるMECKを用いて事前に決定したオピオイド量で麻酔維持を行い、手術侵襲に対する有害な交感神経反応が抑制されることを確認する研究を開始できるよう、これを最優先として計画立案を続けていく。また、これに限らず複数の研究段階にある課題があるため、論文化や学会発表、データ取得を順次進めて行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
オピオイド感受性指標を用いて事前に決定したオピオイド量で麻酔維持を行い、手術侵襲に対する有害な交感神経反応が抑制されることを確認する研究が、計画の段階であり実施開始に至ることが出来なかった点が最も大きな理由として挙げられる。また、学会経費が調達の方法の工夫などにより、当初計画より経費の使用が節約できた。 次年度については、海外学会発表や研究開始に係る経費などが強く予想されている状況であり、これらへの支出を予定している。
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