血管が正常な状態であれば血管透過性は正常に保たれているため、余分な水分が漏出することはなく組織が浮腫を起こすことはない。感染症や外傷などにより炎症が生じると、血管透過性が亢進し血管内の水分が細胞間質に漏出する。細胞間質に漏出した水分は、その移動が抑制されていなければ、利尿薬投与によりリンパ管を通して血管内へ移動して浮腫は改善するはずである。しかし臨床において敗血症などの侵襲時に利尿薬に対する反応が不良であることはよく経験する。それゆえ、炎症下においては細胞間質に漏出した水分の移動が抑制されていると考えられる。この病態の原因のひとつに細胞間質のヒアルロン酸が周囲の膠質浸透圧の影響をうけ水分を吸収し膨潤することが考えられており、β1インテグリンの関与が示唆されているが、その機序は不明である。本研究では組織間質においてβ1インテグリンをノックアウトしたマウスを用いて間質の水分移動の機序を明らかにする。 現在ノックアウトマウスの解析を行っているのに平行して、正常時並びに炎症誘発時の各臓器でのβ1インテグリンの局在を免疫染色にて確認中である。β1インテグリンの発現はUbiquitousでありいたるところに発現をしているが、炎症時にはその発現の低下が確認されている。
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