研究実績の概要 |
本研究により、軟骨肉腫細胞を骨芽細胞などの骨形成細胞へ転換することができれば、軟骨肉腫の骨強度を強化したうえで腫瘍に対する治療が可能になると考える。結果、遺伝子導入のみでの治療が可能になる可能性があるのみならず、液体窒素などの保険適応された処理骨移植の骨強度を担保する方法として汎用性の高い治療法になり得ると考えている。 線維芽細胞,軟骨細胞および軟骨肉腫細胞 に対し、骨芽細胞へのreprogramming効果のある可能性がある遺伝子 (Runx2, Osterix, 各種Octファミリー, ATF4)を単または複数遺伝子導入することで骨芽細胞分化が誘導されるかを検討することを目的に本年度は研究を進めた。また、re-programmingに必要とされる導入遺伝子であるMycは腫瘍細胞では高発現していることが報告されており、導入遺伝子を減らすことができることを期待して研究を開始した。 まず、本研究に必要となる遺伝子導入に用いる複数のベクターを作成した。 SW1353に対し、遺伝子導入を行い、導入効率の検討、類骨形成の有無を確認したが、Mycを導入せずに、他因子を導入しても導入効率が悪く、類骨形成を認めなかった。SW1353自体のMycの発現を確認したところ、発現量が少なかった。そのため、複数の軟骨肉腫細胞株で各Mycの遺伝子発現量を確認を行い、他の軟骨肉腫細胞株に対しても導入効率や類骨形成について検討している途中である。
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