研究実績の概要 |
本研究の目的は末梢神経再生における新たな人工神経を開発することである。従来から2次元培養したSchwann細胞を播種したhybrid型人工神経は、神経再生誘導チューブ単独よりも高い有用性が示されてきた。今回は細胞が本来有する機能を十分に発揮させることを目的として、3次元培養したSchwann細胞を用いる。その現実的な方法として細胞塊(細胞スフェロイド)に注目した。末梢神経再生においてSchwann細胞が主役であることは明白であり、再成軸索の足場となるSchwann管形成や、神経栄養因子を発現する。末梢神経再生にスフェロイドを用いた研究はないが、単層培養細胞よりSchwann細胞の機能を強く発揮することは間違いないと思われる。 まずrat Schwann細胞(SciencellTM, CA, USA; catalog #R1700)を用いてスフェロイドの作成を行った。Schwann細胞培養メディウムを用いて培養し、スフェロイドの作成はhanging drop 細胞培養法で行った。低接着試薬がコーティングされたスフェロイド形成培養用容器 (SPHERICAL Plate 5D, Mito, Kyoto, Japan)を用いてscaffoldを用いずにスフェロイド作成した。 作成したSchwann細胞スフェロイドをS-100抗体とDAPIを用いて蛍光免疫染色して蛍光顕微鏡下に観察を行い、スフェロイドの均一性を評価した。 また神経栄養因子発現の評価を現在行っている。作成したスフェロイドの細胞数と同数の2次元培養したSchwann細胞とを比較する。またタンパクをRIPA bufferにて抽出し、ELISAで神経栄養因子(NGF,BDNF,GDNF)の発現を確認している。
|