研究実績の概要 |
Photothrombosisを応用した過活動膀胱ラットの作成を行った。11週齢のWistar-ST系雌性ラットを用いて、イソフルラン吸入麻酔下に頭部を定位脳固定台に固定。頭皮を2.0cm正中切開し、冠状線・矢状縫合線の中心点であるbregmaを同定。8mm径光源をbregmaから1mm前方で固定し、Rose bengal(30 mg/kg, 330000-1G; Sigma-Aldrich, St.Louis, MO, USA)を尾静注。560nm波長ハロゲンレーザを光源に接続し30分間照射して脳梗塞ラットを作成した。 続いて、P2X3受容体拮抗薬投与での尿流動態測定を行った。P2X3受容体拮抗薬であるAF-353を投与するP2X3群と、生食を投与するcontrol群それぞれにおいて、脳梗塞作成前、作成後1日目、7日目、14日目で以下の方法で膀胱機能を評価した。イソフルラン吸入麻酔下に大腿静脈に薬物投与用カニューレを留置した。腹部を切開し、膀胱頂部に外径1mmのPE50カテーテルを留置した。麻酔覚醒3時間後に薬物を投与した。拘束下で膀胱に留置したカテーテルから100μL/分で生食を持続注入しカテーテルに接続した圧トランスデューサーで膀胱内圧を120分測定した。保定器の下にシャーレを置いた電子天秤を設置し、尿の落下量をソフトウェアで記録した。評価項目として膀胱内圧パラメータ(排尿直後の基準値圧、排尿直前の閾値圧、排尿時の最大圧)、排尿記録(排尿間隔、1回排尿量)を測定した。 P2X3受容体拮抗薬投与群ではcontrol群と比較し、脳梗塞作成後1日目、7日目において排尿間隔の延長を確認した。また、1回排尿量も増加した。しかし、14日目では差を認めなかった。基準値圧、閾値圧、排尿時の最大圧は脳梗塞作成前後で2群間で差を認めなかった。
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