研究実績の概要 |
これまでの研究で、mLOYと前立腺がんリスクとの関連が指摘されているが、因果関係は完全には確立されていない。そこで、前立腺がんに対するmLOYの因果関係を明らかにするため、2つの祖先グループを対象にメンデルランダム化(MR)研究を行った。ヨーロッパと東アジアの前立腺がんのGWASにおいて、それぞれ125個と42個のmLOYに関連するバリアントを instrumental variables (IV)として利用した。前立腺がんに関する要約レベルのデータは、PRACTICALコンソーシアム(欧州系祖先の症例79,148例、対照61,106例)およびBiobank jaoanコンソーシアム(東アジア系祖先の症例5,408例、対照103,939例)から得た。東アジアの祖先における因果関係を評価するために、単一の集団が用いられた。 IVW法を用いたMR解析の結果、PRACTICALコンソーシアムでは、遺伝学的に予測されるmLOYが1単位増加すると前立腺がんリスクが増加することが示されたが(OR = 1.09%、95%CI:1.05-1.13、p = 1.2×10-5)、Biobank Japanコンソーシアムでは示されなかった(OR = 1.13%、95%CI:0.88-1.45、p = 0.34)。感度分析により、PRACTICALコンソーシアムでは、遺伝学的に予測されるmLOYが1単位増加するごとに前立腺がんのオッズ比が増加することが示された。さらに、mLOYは両者のメタアナリシスにおいて前立腺がんリスクと関連していた(OR = 1.09%、95%CI:1.05-1.13、p = 8.0 × 10-6)。 結論 われわれのMR研究は、mLOYが高いと前立腺がんのリスクが増加するという強力な証拠を提供した。mLOYを予防することは、前立腺がんの発症リスクを低下させる手段となりうる。
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