研究実績の概要 |
(1)新生仔ラットを用いたPVL(脳室周囲白質軟化症)モデルの確立:妊娠母獣ラットにLPS腹腔内投与を行い(子宮内感染), 生まれた新生仔に片側頸動脈結紮・切断および低酸素負荷することにより(分娩時・分娩後の低酸素・虚血ストレス), PVLモデルを作製する. 妊娠母獣ラットへのLPS投与とその母獣から産まれた新生仔ラットへ低酸素・虚血処置にて, 新生仔ラットの患測の脳組織切片にてMBP染色の低下を認めた. PVLの組織学的損傷は実験毎で一致していなかった. 妊娠母獣ラットへのLPS投与の代替として, 生後6日目の新生仔ラット(ヒトPVLの発症時期に一致)に, LPS腹腔内投与後に片側頸動脈結紮・切断および低酸素負荷することでも, 処置をした新生仔ラットは非処置群と比較して, 患測の脳組織切片にてMBP染色の低下,体重ならびに脳重量の増加が低下し、けいれんが観察された. 一方, 処置群でもMBP染色の低下の重症度に幅があり, PVL自体ができていない個体があった.PVLモデルの作成は可能だが, 処置による表現型が安定するように, LPSのロットや個体数の制限などプロトコールの改変の必要性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の実験プロトコールは, ヒト実地臨床に即して, 妊娠母獣ラットにLPS腹腔内投与を行い, その妊娠母獣ラットから生まれた新生仔ラットに頸動脈結紮・切断, 低酸素負荷を行うものであった. 新生仔ラットの致死率, 脳の組織学損傷にばらつきが生じており, プロトコールを調整中である.
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