本研究では申請者の行った先行実験において子宮内膜症症例の子宮内膜にCD81が高発現であったことに着目し、子宮内膜症既往妊娠における早産の増加の原因の一つにCD81高発現に伴う局所炎症反応が関与しているとの仮説のもと検討を行なっている。 先行実験にて子宮内膜症症例の正所性子宮内膜間質細胞の膜蛋白においてCD81が高発現であることをiTRAQ法にて確認していた。ただし症例数が限られた検討であったため、子宮内膜間質細胞の初代培養細胞から抽出した膜タンパクを用いてCD81の発現をWestern blot 法にて確認した。子宮内膜症非罹患症例10症例、子宮内膜症罹患症例10症例を検討したが、必ずしも子宮内膜症症例においてCD81が高発現となっているとは言えなかった。 次に当院に保存されている内膜症症例・非内膜症症例の子宮のパラフィン包埋検体各6検体を用いて CD81 の発現を免疫組織染色にて確認した。免疫染色では内膜症症例・非内膜症症例ともに子宮内膜間質細胞においてCD81の高発現がみとめられる検体が存在した。一方で子宮内膜上皮細胞においては子宮内膜症症例の一部のみでCD81が高発現であった。よって先行実験でおこなったiTRAQ法の検体に子宮内膜上皮細胞の混入があった可能性を検討し、子宮内膜症症例の正所性子宮内膜から子宮内膜上皮細胞を初代培養して、CD81の発現をWestern blot法にて検討する方針としたがホルモン療法未暴露の子宮内膜症症例で手術時に子宮も同時に摘出する症例はほとんどなく、検体の確保に難渋している。現在、手術症例の子宮内膜のみでなく、子宮内膜生検の際の残余検体からの初代培養に取り組んでいる。
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