研究課題/領域番号 |
23K15921
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
坂本 万寿夫 近畿大学, 医学部, 講師 (20580773)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 原発性眼内悪性リンパ腫 / 三次リンパ構造 / 原発性中枢神経系リンパ腫 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
原発性眼内悪性リンパ腫(PIOL)は、ぶどう膜炎との鑑別が困難な疾患であり、メトトレキセート硝子体注射、放射線治療、化学療法が治療に用いられるが、中枢神経系への播種により予後が不良であることがしばしば見られる。難治性・再発性原発性中枢神経系リンパ腫(PCNSL)においては、B細胞活動抑制のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬が有効であることが示されており、PIOLへの応用も期待されているが、治療成績は未だ明らかではない。このため、新規治療薬の開発が緊急に求められている。近年の研究で、腫瘍組織内に三次リンパ構造(TLS)とその中の腫瘍関連B細胞(TAB)の存在が明らかにされ、これらがPIOL治療の新たな標的となる可能性が示唆されている。TLS内B細胞は腫瘍表面分子に特異的な抗体を産生すると考えられ、本研究課題ではこれらのB細胞から新規治療標的を同定することを目指している。網膜下腫瘍性を示すPIOL患者から標本を収集し、免疫組織化学と深層学習アルゴリズムを組み合わせた病理組織解析システム(Cu-Cyto)を用いた解析を行い、TLS内B細胞が産生する特異的な抗体コンビネーションの選定を試みている。このアプローチにより、PIOL治療の新たな可能性を探求し、患者の予後改善に貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
PIOL患者における各種細胞解析では、硝子体病変では検体量に限りがあるため、網膜下腫瘤病変を伴う症例が対象になる。網膜下腫瘤病変を有する症例は限られており検体採取にやや苦慮している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きPIOL症例の蓄積を進めるとともに、今後は脳神経外科におけるPCNSL症例と含め総合的にTLSに関する解析を進めていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は他の研究課題の余剰消耗品を用いる機会があったこと、症例数が十分でなかったことから、想定より支出が少ない状況であった。次年度は他の研究課題との連携に伴い症例数の増加が予想され、支出額増加が見込まれる。
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