研究実績の概要 |
ヒトアデノウイルスは,眼科領域では流行性角結膜炎および咽頭結膜熱などのウイルス性結膜炎を生じ、わが国で年間100万人が罹患する一方で治療薬が存在しない。本研究では新型を含めた眼科D種HAdVについて,A549細胞に加え結膜上皮細胞や角膜上皮細胞を用いて既存薬の抗ウイルス効果をin vitro基礎実験で検討する。さらに抗HAdV作用を持つヨード点眼液について,同じく基礎実験に加え臨床試験を実施して,型別効果解析を行う。HAdVは症状の終息に2週間以上要することもあることから,本研究が臨床的にも,公衆衛生学的,および経済学的にも,社会に貢献できると考える。 この研究計画に基づき本年度は本施設,国立感染症研究所などの協力研究施設の市中感染症例から分離された新型HAdVに属する株とATCCから入手したD種標準株を用い複数のHAdV型間のウイルス増殖性を検討した。来年度以降も引き続き解析およびデータの収集を行う計画である。
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