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2023 年度 実施状況報告書

新規育毛物質の効果と作用機序の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K15952
研究機関大阪公立大学

研究代表者

菊地 哲宏  大阪公立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (80971879)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード5-アミノレブリン酸
研究実績の概要

5-アミノレブリン酸(5-ALA)が既存の育毛物質と比較して、人体に対する育毛効果を発揮するか否かを、ヒト毛包組織を用いた器官培養での検証を行った。医薬品における既存の育毛物質であるminoxidil 1µMを陽性対照として、5-ALA 1 µMとの比較を行ったところ、有意に毛包組織の伸長率が上昇した。このことから、5-ALAは十分な育毛効果を人体においても発揮することが明らかとなった。また再現性も含め検討が必要ではあるが、minoxidilの育毛効果が発揮されにくい、後頭部の毛包組織においても、育毛効果を示したことから、minoxidilとは異なる作用機序によって、育毛効果を発揮している可能性も示唆された。
5-ALAの作用機序解明を目的に、被験者4名から採取した毛包組織に、5-ALAおよびminoxidilを暴露し、毛包組織からtotal RNAを回収した。回収したRNAを鋳型に、RNAシーケンシングを用い、非曝露群との比較を行った。その結果、5-ALA曝露群では初期発生時に発現する遺伝子群や細胞分化促進時に発現する遺伝子群、細胞内外の構造体に関する遺伝子、特にミトコンドリア関連の遺伝子群の発現変化を確認した。ミノキシジルと比較しても発現変化が見られた遺伝子群には偏りがあることから、minoxidilを含む、毛母細胞賦活効果や血流増進効果とは異なった、新たな作用により育毛効果を発揮する可能性が高まった。今後は作用機序確認のためにシーケンス結果の詳細解析及び、明らかになった因子の組織内での発現場所の解析等を行うことで、5-ALAの育毛における作用機序解明を行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

十分なヒト毛包を採取可能な大きさの頭皮検体が予想よりも出ず、当初予定していた性別・年齢・部位間差や、5-ALAの取り込み部位の同定が予想より進まなかった。
一方で次年度に予定していた発現遺伝子解析は、少量の組織からでも実施可能なRNA-sequenceを採用することで、先に実施することができた。

今後の研究の推進方策

現在、協力医療機関を増やしており、来年度には現在よりも多くの頭皮検体が入手可能になる見込みである。この検体を用い、年齢や性別、部位差による育毛効果について検証を行う。また5-ALAの取り込み部位とともに、タンパク質の局在解析も並行して行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

5-ALAの育毛における作用機序解明を、試薬購入によって自ら行うことを予定し、物品費に計上していたが、発現遺伝子の網羅的な解析が可能なRNAシーケンシングを外注により行うことで、未知の遺伝子群の網羅的解析と効率化を図ることを目的として計画外のその他として執行したため。

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公開日: 2024-12-25  

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