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2023 年度 実施状況報告書

環状RNAによる低ホスファターゼ症の新規遺伝子治療戦略の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K15986
研究機関東京歯科大学

研究代表者

高橋 有希  東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30778626)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード低ホスファターゼ症 / アルカリフォスファターゼ / 遺伝子治療 / アデノ随伴ウイルスベクター / 先天性疾患
研究実績の概要

低ホスファターゼ症(hypophosphatasia, HPP)は、硬組織の石灰化不全、乳歯の早期脱落などを主徴とする遺伝性疾患で、治療法としては、血中のアルカリホスファターゼ(ALP)を上昇させる酵素補充療法が適用されているが、結膜、腎臓、頸椎靭帯に異所性石灰化物を生じる副作用がある。いずれも、血中ALP活性の過度な上昇が原因であると推察される。そのため、過度に血中ALP活性を上昇させることなく、硬組織の伸長不全および石灰化不全を改善できる新たな治療法の開発が期待されている。
本研究では、この点を改善するために環状RNA(circRNAs)に着目し、血中ALP活性を必要以上に上昇させることなく、硬組織の病状を改善できる新たな遺伝子治療法の開発を目的とした。
HPPモデルマウスと正常マウスの骨髄間葉系幹細胞(BMSCs)を採取後、RNAシークエンス解析を行い、発現が増加もしくは低下しているcircRNAsを同定した。その解析結果に基づき、特に発現量の差が大きかった3種類のcircRNAsを発現するように構築した治療用アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを構築した。血清型は当初9型を使用する予定で作製したが、BMSCsへの導入効率が低く、3種類のcircRNAsの治療効果を比較検討することが出来なかった。そこで、血清型を1型に変更し、再度治療効果を判定するための実験を行っている。
今年度は、HPPモデルマウスに同定したcircRNAs3種類のうち、最も治療効果の高かったものを発現するように構築したAAVベクターを投与し、新規遺伝子治療法による硬組織形成不全への治療効果の確認を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HPPモデルマウスと正常マウスの骨髄間葉系幹細胞を採取し、RNAシークエンス解析を行い、発現が低下しているcircRNAsを同定できた。現在、特に発現量の差が大きかった3種類に関して、そのcircRNAsを発現するように構築したウイルスベクターを作製した。
しかし、当初予定していた血清型(9型)では著しく導入効率が悪く、3種類のcircRNAsの治療効果を比較検討することが出来なかった。そこで、血清型を1型に変更し、再度治療効果を判定するための実験を行っている。

今後の研究の推進方策

今年度は、同定したcircRNAs3種類の治療効果の比較検討を行う。そのうち、最も治療効果の高かったものを発現するように構築したAAVベクターを1日齢新生児HPPモデルマウスに静脈内投与を行い、新規遺伝子治療法の硬組織形成不全への治療効果を検証する予定である。サンプリングの時期は、HPPモデルマウスが致死性で、約20日齢で死亡してしまうため、まずは20日齢での血清、大腿骨および顎骨のサンプリングを検討している。

次年度使用額が生じた理由

当初、細胞実験で3種類の同定したcircRNAsの治療効果を比較検討する予定であったが、導入効率が著しく悪かったため、AAVベクターの再作製を行った、そのため、比較検討に必要な試薬分が差額として生じた。生じた差額分は、今年度予定通り、3種類の同定したcircRNAsの治療効果を比較検討するために必要な試薬を購入する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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