研究実績の概要 |
本研究ではポリクローナル抗体結合磁気ビーズを用いて、口腔Helicobacter pylori (以下ピロリ菌)を検出する方法を確立し、口腔サンプルから分離できるか否かを検証する。 H. pylori IID3023株を培養し、OD600を5x10-1~10-7まで調整した。また、それらの菌液をStreptococcus mutans UA159懸濁液 (OD600 0.5) にそれぞれ混和した。抗体はAnti-Helicobacter pylori ab20459 (Abcam, Cambridge, England) を使用した。磁気ビーズはDynabeads M-280 Tosylactivated (Veritas, Tokyo, Japan) を用い、プロトコールに従って処理した。各濃度の菌液1mlに反応後回収したビーズを、培養及びNested PCRで回収率を確認した。 結果、培養法ではいずれの濃度でも菌が回収されたが、濃度の低下とともに回収量は低下した。Nested PCRでの検出限界はOD600 5x10-5であった。混合菌液の検出限界はOD600 5x10-4であり、回収率の低下が確認された。 以前の報告により、1st及び2nd PCRによる検出限界はそれぞれOD600 5x10-3、5x10-6である。培養法では全濃度でコロニーが確認されているが、口腔ピロリ菌が培養可能な状態で存在するか不明である。Nested PCRによる検出限界は5x10-5であり、混合菌液では回収率が低下する。口腔ピロリ菌は2nd PCRで検出できる濃度で存在し、磁気ビーズで回収できると証明することはできない。 現在、使用する抗体の種類を増やし、抗体により検出率が異なることを確認している。抗体を混合することで、多様な形態で存在しうる口腔ピロリ菌の検出に対応可能か検証している。
|