研究課題/領域番号 |
23K16000
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉山 敬多 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70910800)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | AGEs / 糖化最終産物 / デンティンブリッジ / 歯髄狭窄 |
研究実績の概要 |
生体内において加齢に伴い、タンパク質と還元糖の非酵素的糖化修飾により形成される糖化最終産物(Advanced Glycation End products; AGEs)は糖尿病をはじめとした代謝性疾患の病態因子として注目されてきた。また、AGEsは加齢とともに体内のあらゆる組織に蓄積、器質変化を引き起こすことで、様々な病態にも関連することが明らかになってきた。 本研究では、糖化ゼラチンを用いたラット臼歯部への覆髄実験や加齢ラットの歯髄を観察し、比較することで、歯髄腔内の器質変化や石灰化に対するAGEsの新たなの影響を検討した。解析にはμCTやSEM観察、HE染色やAGEsや石灰化関連タンパク質の免疫組織化学染色を用いた光学顕微鏡観察を行った。 AGEsを含んだ糖化ゼラチンは直接覆髄に用いることで歯髄内の石灰化物の形成を促進した。さらに、形成された石灰化物はオステオポンチン陽性染色部位や壊死物質を含む不定形であり、象牙細管構造を有していなかった。一方で、加齢ラットの歯髄腔の狭窄は顕著であり、歯髄全体にOPNおよびAGEsのひとつであるPentosidine陽性染色部位が認められた。老化に関連した糖化産物であるAGEsは加齢とともに歯髄内に沈着し、同時期に歯髄腔内で生理的な象牙質添加が起こっていることが分かった。さらに細胞障害にも関与し、歯髄内で異栄養性と考えられる石灰化が促進することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯髄腔の狭窄は35週齢前後のラットで顕著に確認され、添加した象牙質や狭窄した歯髄の細胞外マトリックスにAGEsが強く発現することが明らかになった。 また、狭窄した歯髄腔には、細胞成分とは別に壊死物質が確認され、壊死物質周囲に石灰化物が沈着した歯髄内石灰化も確認された。このメカニズムには加齢に伴い歯髄内でAGEsが形成され、蓄積し、象牙芽細胞に象牙質形成を働きかけることや、象牙質の添加による歯髄腔の狭窄が二次的に血流の障害や細胞の障害を引き起こすことで、異栄養性の石灰化を促進することが関係していると考えられる。現在はメカニズムのさらなる解明のため免疫組織化学染色をはじめとした解析を進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
歯髄腔の狭窄が顕著に表れるのは35週齢前後であるが、この時期は象牙質の添加や歯髄内石灰化が急激に進むため、歯髄の細胞の減少や細胞外マトリックスの萎縮が起こり、正確な病態がとらえにくい。今後の課題は現象が始まる時期を正確にとらえ、歯髄組織と根管の変化を経時的に把握することである。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、当初予定していた高齢ラットの実験が順調に進み匹数を削減できたこと、使用する抗体の使用量を減らすことが出来た。また学会発表を次年度に持ち越したことなどで次年度使用額が発生した。次年度において高齢ラットなどの追加で使用する予定があり予算の使用計画には変更は生じない。
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