研究課題
超高齢社会において歯の寿命は延長し、根面齲蝕等の高齢者の齲蝕が問題となっている。修復歯においても審美性に加え、抗プラーク付着性を長期間維持できることが肝要である。修復用レジンは審美性に優れるが、耐変色性に劣る。それは粗さや光沢度などの表面性状に関連すると一般的にいわれ、表面性状はプラーク付着性にも影響すると考えられる。これまでに申請者は、構造発色技術が導入された単一シェードの新型レジンが、ベースレジンとフィラーの接合が緊密なため、色素を含有することなく優れた色調適合性を実現し、さらにその変色性は両者の接合に起因する表面性状には関連しないことを加速劣化試験により明らかにした。本研究の目的は、新型レジンを含めた各種レジンの表面性状と耐変色性の関連を明らかにするとともに、プラーク付着性試験を加えることで、耐変色性が新型レジンの構造特性に起因するものかの検証、かつ長期にわたる抗プラーク付着性があるかを検証し、超高齢社会で求められる優れたレジンの開発に寄与するための基礎的検討を行うことである。昨年度までに「単一シェードレジンと従来型レジンの耐変色性についての比較検討」、「乾式および湿式の密度測定法を用いたユニバーサルフロアブルレジンの重合収縮率の検討」、「ユニバーサルコンポジットレジンの色調安定性に関する検討」および「ユニバーサルコンポジットレジンの形態学的特徴に関する検討」について学会発表を行った。また、単一シェードレジンの抗プラーク付着性を検討するため、①試料サイズの決定、②試料作製方法の確立、③実験プロトコールの考案および④コンポジットレジン表面の生菌数の測定まで進んでいる。
3: やや遅れている
現在までの実験で使用していた試料サイズではサイズが大きすぎ、実験遂行が困難であることが判明したため、試料サイズの見直し、実験プロトコールの考案から研究を開始した。現時点で①試料サイズの決定、②試料作製方法の確立、③実験プロトコールの考案および④コンポジットレジン表面の生菌数の測定まで進んでいる。しかしながら、「④コンポジットレジン表面の生菌数の測定」の手技習得、実験の再現性確立に時間を要している。また、生菌数の測定にあたり、他の実験方法(吸光度計による濁度の測定)と違いがあるか検討を加えることとしており、当初の実験内容より検討することが増えており、進捗状況としてはやや遅れている。
今後は「コンポジットレジン表面の生菌数の測定」の手技習得、実験の再現性確立が急務となってくる。また、生菌数の測定にあたり、他の実験方法(吸光度計による濁度の測定)と違いがあるか検討を加えることとしており、今年度は単一シェードレジン表面へのS.mutans培養方法の確立に焦点を絞り研究遂行していく予定としている。研究方法が確立し、結果が整い次第、学会発表(2024年度審美歯科学会もしくは2025年度歯科保存学会春季学術大会抄録締切まで)を行う予定としている。
研究遂行に伴い、計画的に直接経費を使用することで倹約が可能であったため、次年度に繰り越すこととした。繰り越し分を含め、次年度も直接経費(物品費170,000円(実験材料費として)、旅費700,000円(海外学会交通費・宿泊費・日当として)、人件費・謝金100,000円(英文校閲代として)、その他200,000円(学会参加費・論文掲載イラスト作成料として))での使用を検討している。
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American Journal of Dentistry
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