研究課題
咬合性外傷は歯周炎による骨破壊を促進する共同破壊因子として広く知られるが、急激な骨破壊を引き起こす中心的役割を果たす細胞種や遺伝子、メカニズムについては不明なままである。申請者は結紮誘導歯周炎+咬合性外傷モデルマウスを確立しており、本研究では咬合性外傷による骨破壊の要因となる因子を細胞ごとに明らかにすることを目的とする。上記モデルマウスの歯周組織の組織切片を作製し、組織切片上の各細胞の遺伝子発現プロファイルと細胞の空間的位置情報を同時に解析可能な空間オミクス解析を適用し、歯周組織構造に一致した形で網羅的な遺伝子発現解析を行う。これにより、歯周組織における外傷性骨破壊に関連する細胞種や原因遺伝子を明らかにする。さらに、伸展培養系において原因候補遺伝子のノックダウンを行い、原因遺伝子の機能解析を行うことで咬合性外傷のメカニズムの解明に迫る。現在、9週齢オスC57BL/6J系統マウスの上顎第二臼歯周囲に6-0絹糸を結紮した絹糸結紮歯周炎モデルと、歯周炎モデルに上顎第二臼歯咬合面にコンポジットレジンを築成し、外傷性咬合を惹起する歯周炎+咬合性外傷モデルを作成した。これらのモデルについてHE染色、TRAP/ALP染色の組織学的解析を処置後5,8日後にて実施し、先行研究において実施したマイクロCT解析の結果を反映するような結果が順調に得られている。空間オミクス解析を行うにあたっては脱灰の影響が懸念されるため、現在より組織へのダメージの少ない方法を含め、条件の検討をおこなっている。方針、条件が決まり次第解析を実施していく予定である。
3: やや遅れている
歯周炎、咬合性外傷のモデルについては確立しており、切片作成等も行なっているが、空間オミクス解析を行うにあたって脱灰等の問題があり、解析方法について再検討を行なっている。
今後空間オミクス解析を行うための条件検討を追加で行う。もしくは、シングルセル解析などの別の手法を用いたアプローチ方法についても検討を行い、解析を進める予定である。
元々空間オミクス解析実施に関連する経費を初年度に計上していたが、条件検討を重ねており、解析が遅れているため、次年度に予算の繰越を行っている。
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