研究課題/領域番号 |
23K16077
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
白井 麻衣 鶴見大学, 歯学部, 助教 (80779819)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | インプラント / スリープ / インプラント周囲炎 / 要介護高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究は要介護高齢者を想定したインプラントスリーププロトコル立案のための基礎研究であり,将来的にはインプラント周囲炎に罹患した患者のインプラントをスリープ(粘膜下に留置)する最適な方法を見出すことを目的としている. 当初の予定としては2023~2024年度にかけてインプラント周囲炎のラットのモデル確立を予定していたが,すでに他の論文で報告されているステップでもあり,予定を変更して,インプラント周囲炎を発症した後に周囲骨の回復(骨欠損部の骨造成)方法を確立するのを先行して行うこととした. 研究代表者を含む過去の研究より,骨抽出物には石灰化誘導作用があることが明らかになっている.また,骨抽出物中のTGF-βが石灰化誘導作用を有しており,さらに数種類の非コラーゲン性タンパク質がTGF-βに結合することでその活性を維持することがわかっている.今回の実験として,BMPについても検討を加え,インプラント周囲骨の回復に有効な人工材料の検討を行っていく. まず6週齢SDラットの大腿骨,脛骨を採取し,塩酸グアニジン(G1画分)-塩酸(H画分)-塩酸グアニジン(G2画分)と骨タンパク質を段階的に抽出した.抽出した各画分のタンパク質の生化学的分析として,ALP活性を行い,骨タンパク質中にTGF-βおよびBMPの活性を確認した.現時点では各因子の活性はG2画分に強く発現しているように見受けられる.今後,ALP活性について阻害剤を入れた阻害実験や骨タンパク質の至適濃度を検討してからの追加実験を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた実験計画とは異なる進行で進めることとなったため,サンプルの手配,採取と準備に手間取った部分があった.逆に来年度の内容を先に行っているため,最終的に調整して期間内に終わらせることができるようにしたい.
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今後の研究の推進方策 |
インプラント周囲炎の状態改善(スリープが可能なレベルまで)の方策検討を優先して進めていく.現状では骨造成に有用な生理活性物質(骨誘導因子)が特定できつつある.この生理活性物質を保持する足場として,コラーゲン素材のテルダーミス,徐放性コラーゲンゲル,ポリ乳酸系の素材など既存の人工材料を検討し,どの足場が最適が検討する.これらによりインプラント周囲炎の状況が改善し,インプラントスリープの難易度の下げることができるのではないかと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた実験の計画を変更し,実験全体の進行が遅れているため,使用額が次年度に繰り越されいる.2023年度に購入予定だった物品が2024年度に繰り越されているため2024年度に使用する予定である.
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