研究課題/領域番号 |
23K16129
|
研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
柳沼 樹 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60845064)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 口腔扁平上皮がん / 浸潤 / BMP3b |
研究実績の概要 |
口腔がんのほとんどは扁平上皮がんで,その発生率はがん全体2%とされるが,社会の高齢化に伴い増加している.口腔扁平上皮がん(OSCC)は比較的早期に解剖学的に近接する顎骨に浸潤する.顎骨への浸潤は転移の契機となるため予後は悪くなる.また骨の切除が広範囲になると術後に摂食障害や発音障害が生じる可能性あることから,口腔がん治療において,いかに顎骨浸潤を制御するかが重要な課題である.がんは本質的にゲノム異常を原因とする疾患であることから,個々のがん細胞のゲノム異常を網羅的に調べ,変異に基づいた個別化治療を行うがんゲノム医療が期待を集めている.しかしながら,腫瘍内・腫瘍間不均一性などによる治療抵抗性により,現在のところ十分な成果を挙げているとは言い難い.一方で,がん宿主の免疫機構には大きな個人差があり,免疫チェックポイント阻害薬が,ある種のがんに奏効することなどを鑑みても,広くがん治療の反応性や予後に免疫機構が関与することが知られている.さらに免疫機構のみならず,いわゆる“体質”と呼ばれる宿主側の遺伝子背景が,がんの病態に関与することが示唆されているものの明確なエビデンスは存在しない.そのため,今後のがん医療の発展のためには,がん細胞自体の変異だけでなく,宿主の視点から“がん”にアプローチしていく必要がある. BMP-3bはのコンベンショナルノックアウトマウスを入手し,大腿骨のマイクロCT解析を行ったところ,ノックアウトマウスで骨量が増加していた.BMP-3bは骨形成を担う骨芽細胞に発現し,骨吸収を担う破骨細胞にはほとんど発現していなかったことからBMP-3bはIn vivoにおいても骨形成を抑制している可能性が示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定に従って順調にデータが取れているため.
|
今後の研究の推進方策 |
なるべく早い時期にIn vivoの実験を終了させ,データを取りまとめ,論文の執筆に取り掛かりたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度中にある程度の値段のする装置の購入を計画していたが,納入が遅れ,支払いが来年度に持ち越したことによるため.
|