研究課題/領域番号 |
23K16176
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 新 東北大学, 大学病院, 助教 (10805914)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 顎関節円板 |
研究実績の概要 |
顎関節を構成する主要な細胞外マトリックス(コラーゲン、プロテオグリカン、弾性線維)は、組織の形態維持、機械的特性、脆弱性および病的変化において重要な役割を担っている。これらの細胞外マトリックスは相互に作用し、基質形成及び構成に関与する。本研究では、咬合改変(incisal bite plate)を利用して顎関節への関節荷重を増大させる実験モデルを用い、成長期ラットの関節円板について (1) 関節円板の主要な細胞外マトリックスの局在と発現および (2) ナノインデンテーション(微小領域の押し込み試験)などを用いて円板組織の機械的特性(引張り強さ、圧縮強さ、硬さ、ヤング率、粘弾性、表面粗さ)を検討し、関節荷重が関節円板の細胞外マトリックスの発現・組成および機械的特性に及ぼす影響を明らかにする。このことにより、顎関節の荷重が細胞外マトリックスを介した顎関節の形態維持に果たす役割が明らかになるとともに、組織の器質変化に伴う関節円板の変形・転位を主徴とする顎関節症の発症機序の解明の一助になるものと考えられる。本年度は以下の実験を行った。 (1)加齢に伴う弾性線維の発現量変化の解析 (2)加齢に伴う弾性線維の発現領域変化の解析 (3)機械的試験のうちナノインデンテーション、引張試験の予備実験、条件検討 以上から弾性線維の加齢に伴う発現変化を明らかにした。今後咬合改変をおこなった場合のデータ解析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機械的試験の際に使用するジグ作成について、設計、予備実験に対して予定していた以上の時間を要したため進行が遅れた。ラット関節円板のサイズが極小であり、試験機への固定方法について難航した。本年度で条件検討が大きく進めることができたため、来年度以降は咬合改変モデルについてよりスムーズに研究が進めれると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年は予定通り機械的試験の予備実験を行えたが。咬合改変モデルに対するデータ採得が予定通り進められなかった。 来年度以降は計画通り、咬合経変モデルに対するデータ採得から行う予定である。本年度検討した機械的試験についても、同様にデータ採得を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は機械的試験の条件検討に時間を要した。本来行う予定であった咬合改変モデルを用いたデータ解析が計画通り進んでいないため、それに要する試薬、消耗品等の支出が無かったため次年度使用額が生じた。本年度は咬合改変モデルの実験を進めるため、それに伴う試薬、消耗品の支出が生じる予定である。
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