研究実績の概要 |
装置デザインとして、第一小臼歯抜歯と診断された上顎前突症例における前歯の舌側移動および空隙閉鎖時に前歯を最終目標位置まで牽引する状況を想定し、スライディング・メカニクスではパワーアーム高さと荷重ベクトルの最適な組合せ、ループ・メカニクスではループ高さとゲーブルベンド角度の最適な組合せを決定するシステムを開発した。すなわち、完成した長期的な歯の移動シミュレーションシステムを用いて、異なる2つの治療メカニクスにおける荷重条件の組み合わせを無数に変化させた場合の前歯舌側移動のシミュレーションを行った。具体的には、最適化問題を解く手法としてCMA-ESを用いて、移動後の中切歯の位置と理想目標位置の誤差の最小化を試みた。最適化を行う関数に用いるパラメータには、中切歯抵抗中心の位置と傾斜度を用いることとし、シミュレーション結果と理想位置における両パラメータの誤差が最小となる初期荷重条件(フォースシステム)の最適な組合せを決定した。また、矯正治療患者を対象に、あらかじめ最適化した初期荷重条件の組み合わせを設定し、前歯舌側移動動態を評価するための歯列模型を対象とした、高速3次元形状計測装置を用いた形状計測システムの精度の検証を行った。CMA-ESの適用に当たり、複数のプログラミング言語(C++, C♯, Fortran, CUDA C, Python, PHP, Perl, Objective-C)を用いた、最適化アルゴリズムの設計を行い、適切な近似解を得るための計算手法について検討を行った。
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