研究課題/領域番号 |
23K16237
|
研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
岩井 浩明 朝日大学, 歯学部, 講師 (20847214)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | Helicobacter pylori感染 / 3種混合薬物療法 / アモキシシリン / 齲蝕 / 尿素呼気試験 |
研究実績の概要 |
これまでに申請者は、齲窩内の歯髄におけるHelicobacter pylori菌(H. pylori)遺伝子保有を報告した。今日、H. pylori感染に対する治療方法として、複数の抗生剤を用いた除菌療法が広く行われている。しかし、一旦H. pyloriを除菌しても再度検出される症例が散見している。そこで申請者は、H. pylori除菌の失敗は、齲窩内に付着しているH. pyloriが関連していると仮説を立てた。 これまでのところ、朝日大学病院にてH. pylori除菌を行った226名(男性76名、女性150名、平均年齢52.7歳)に対して、口腔内の健康状態に関して歯科医師による口腔内診査や自記式質問票による調査を行った。 その結果、H. pylori除菌に失敗した者は226人中38人(17%)であった。H. pylori除菌に失敗した者は、成功した者と比較して、う蝕歯を保有する(p = 0.004)傾向がみられた。多変量ロジスティック回帰分析では、性別、年齢、ブラッシング頻度を調整した後、H. pylori除菌の失敗は、齲蝕歯(有:オッズ比:2.611、95%信頼区間:1.072-6.362)と関連があった。さらにH. pylori除菌に失敗した者の割合は、う蝕歯の本数に応じて増加した(p = 0.002)。これらの結果から、H. pylori除菌の失敗はう蝕と関連している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
目標とする解析可能なサンプル数を収集できている。今後は、H. pylori除菌の失敗におけるさらなる公衆衛生学的関連因子を評価したい。
|
今後の研究の推進方策 |
齲蝕とH. pylori除菌の失敗の関連について、さらなる公衆衛生学的因子の解明のために、今後サンプル数を増やし検討を加えたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は研究協力機関の出張費を計上せずにすんだため、助成金に余剰が生じた。しかし、これらは2024年度以降、サンプル数が増加した際に研究協議として出張が必要となる。 また、2024年以降にIADRにて発表予定としており、海外旅費が必要となる可能性が高い。 そのため、2023年度の余剰金は、これらの予算として今後計上する予定である。
|