研究課題/領域番号 |
23K16279
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
常住 亜衣子 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (60932225)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 患者・薬剤師間コミュニケーション / コミュニケーションスキル |
研究実績の概要 |
患者と薬剤師のコミュニケーションは,安全で質の高い薬物療法を実践するうえで重要である。薬剤師には,生物心理社会モデルに基づく双方向型コミュニケーションを実現するためのコミュニケーション能力が求められるが,国内において薬剤師を対象に開発され,広く実践されているコミュニケーションスキル,コミュニケーションスキル実践のためのトレーニングプログラム等はない。 本研究では米国で開発されたThe Three Prime Questionsを参考に,日本の社会的・文化的背景に適したコミュニケーションスキル及びその実践のためのトレーニングプログラムの構築,効果検証を行う。 初年度である2023年度は,The Three Prime Questions原版から日本版プライムクエスチョンを作成した。具体的には①順翻訳を行い,日本版原案を作成,②逆翻訳を行い,原版と日本語版原案が同内容を意味するかを確認,③研究者,翻訳者による精査を行い,日本版プライムクエスチョン暫定版を作成した。その後,日本版プライムクエスチョンの潜在的利用者である薬剤師,潜在的対象者である患者に対する認知デブリーフィングを実施した。認知デブリーフィングにより得た知見に基づき言語的妥当性の検討を行い,暫定版を修正し,最終的な日本版プライムクエスチョンを完成させた。現在,上記プロセスの概要を報告する論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,初年度に日本版プライムクエスチョンを完成させ,その実践のためのトレーニングプログラムの構築に進む予定であった。日本版開発にあたり,The Three Prime Questions 原版の著作権者から許可を得る必要があるが,著作権者を明らかにし,連絡を取る過程が想定以上に困難であり,長期間を要した。そのため,当初の計画より遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,前年度に作成した日本版プライムクエスチョンを効果的に実践するためのトレーニングプログラムを構築する。これを用いて,日本版プライムクエスチョンの実践により患者・薬剤師間コミュニケーションがどう変化するかを調査する。第1回の調査結果に基づきトレーニングプログラムを修正し,再度,調査を実施する。再調査の結果に基づき更に修正を加え,トレーニングプログラムを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は日本版プライムクエスチョンの作成は行ったが,結果の外部公表は実施できなかった。論文投稿,学会発表等に関連する費用が未使用である。また,トレーニングプログラムの実施により患者・薬剤師間コミュニケーションの変化を検討する調査は実施できなかったため,調査実施に関連する費用,調査協力者への謝金等が未使用である。 次年度は結果の外部公表,調査を行い,関連する費用を使用する。また,調査により収集したデータの解析時に必要となるPC周辺機器,ソフトウエア等を購入する予定である。
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