研究課題
ヒトは空気や食物を通じて環境中に広く存在するマイクロプラスチック(MPs)やナノプラスチック(NPs)に曝露されており、その影響で腸や肺の損傷が報告されている。しかし、MPs/NPsが中枢神経系(CNS)に与える影響はほとんど解明されていない。ミクログリアやアストロサイト細胞は、外部刺激への応答を含む中枢神経系における重要な役割を果たしている。本研究では、MPs/NPs曝露がミクログリアとアストロサイトに与える影響を調査する。BV2ミクログリアおよびKT-5アストロサイトに、様々なサイズと表面修飾を持つMPs/NPsの曝露実験を行った。細胞毒性はMTS、LDHアッセイで評価した。MPs/NPsの取り込みは蛍光顕微鏡で観察した。炎症性サイトカイン、酸化ストレス、Nrf2通路、オートファジー等の遺伝子の発現はqPCR/ELISAで測定した。また、酸化ストレスとオートファジーは蛍光アッセイで測定した。結果として、24h曝露後BV2及びKT-5細胞において異なるサイズ/表面修飾の粒子の取り込みを確認した。細胞毒性に関して、25nmのNPsへの24h曝露後、BV2及びKT-5の細胞生存率は減少し、LDH放出量は増加した。NH2/COOH表面修飾のNPsへの24h曝露後、炎症性サイトカインTNF-aとIL-6の量が増加した。遺伝子発現量に関して、25nmサイズのNPsへの24h曝露後、酸化ストレスマーカー(Nrf2、HO-1、SOD-1等)、オートファジーマーカー(Lc3b、Atg14等)の発現量が増加した。以上の結果により、MPs/NPsはミクログリア及びアストロサイトにおいて粒子サイズと表面修飾依存的な変化を起こすことが明らかになった。また、酸化ストレスおよびオートファジーシグナル伝達に関連する遺伝子の上方制御を示した。これらのメカニズムを理解するためにはさらなる調査が必要である。
3: やや遅れている
In vivo実験に関して、遺伝子変異マウスの繁殖は想定より時間がかった。今後は、これまでのIn vitro実験の結果を解析、総括した上で、動物実験も進めていく予定である。
In vitro実験の結果の解析と総括、結果の論文化、及び成果発表を進める。一方、動物実験も進めていく予定である。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 24 ページ: 1~13
10.3390/ijms24129895
Toxicological Sciences
巻: 195 ページ: 28~41
10.1093/toxsci/kfad059
Chemosphere
巻: 318 ページ: 1~12
10.1016/j.chemosphere.2023.137911
Archives of Toxicology
巻: 98 ページ: 181~205
10.1007/s00204-023-03627-9
巻: 195 ページ: 246~256
10.1093/toxsci/kfad077
Nano Biomedicine
巻: 15 ページ: 41~43
10.11344/nano.15.41