某市の成人歯科健診データ、KDBデータ、および歯科レセプトデータの提供を受け、歯科健診、歯科診療のデータと、医療・介護利用のデータの個人レベルでの結合が可能とのことを確認し、今後の分析のためのデータベースの整備を行った。 しかし、自治体が提供可能なデータは国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険の情報に限られており、若い世代の分析には十分ではないことも確認できた。 また、データの構造が複雑で、全体的に詳細に把握している担当者がほぼいなく、研究のためのデータ整備までは容易ではなく、さらに、成人歯科健診については自治体によって受診率の差が大きく、特定健診と比べるとその受診率がとても低く、対象年齢の拡大、財源の確保、地域歯科医師との連携など、受診率を高めるための制度の整備が必要と考えられる。 解析方法についての情報収集では、KDBデータ、レセプトデータのようないわゆる「リアルワールドデータ」についての分析の方法はまだ確立されてないことが確認できた。リアルワールドデータは時系列データであり、これまでの疫学研究の方法はほとんどが横断研究の解析のための方法で、時系列データ、特に、観察期間中にアウトカムに影響を及ぼす可能性のある「時間依存性交絡」に上手く対応できないことが知られている。リアルワールドデータの種類と量は爆発的に増加しており、今後、それの有効活用のためには、分析方法の開発も伴う必要がある。
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