医療環境や生体に対して各種消毒薬を用いた消毒・滅菌が実践されている。一般的な消毒は、汚染部位における細菌やウイルスなどを瞬時に殺滅することが目的である。しかしながら、緑膿菌に対し塩化ベンザルコニウムで12時間暴露をすることで確実な殺菌がされることを報告してきた。 今回は、消毒剤として消毒用エタノール、銀配合エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、ペルオキソ一硫酸水素カリウム配合除菌・洗浄剤、グルコン酸クロルヘキシジンおよび塩化ベンザルコニウムを用いた。これらの消毒薬にステンレスディスクを浸漬後に取り出すことで、表面上に薬剤を残存させた。静置後0、24および72 h 経過したディスク上にMcFarland No. 0.5に調整した被験菌培養液を接種した。被験菌は、緑膿菌およびA. baumanniiとした。培養液を接種後にディスク上に生残する菌株を回収し、コロニーカウントした。 ペルオキソ一硫酸水素カリウム配合除菌・洗浄剤、グルコン酸クロルヘキシジンおよび塩化ベンザルコニウム浸漬後の0、24および72 hにおけるディスクからは、緑膿菌およびA. baumanniiは検出されなかった。消毒用エタノールでは、緑膿菌およびA. baumanniiの生残が確認された。一方、銀配合エタノールは、生残を確認したがエタノール単剤より生残菌数が減少していた。次亜塩素酸ナトリウムにおける緑膿菌およびA. baumannii では、時間経過とともに生残菌数の増加傾向を示した。 消毒薬は、即時的な殺菌力を有することが重要視されている。しかしながら、ペルオキソ一硫酸水素カリウム配合除菌・洗浄剤、グルコン酸クロルヘキシジンおよび塩化ベンザルコニウムは、被験菌に対して長期的に殺菌力を有することが分かった。環境や生体に用いる消毒薬の持続力は、医療関連感染の予防に貢献することが示唆される。
|