研究課題/領域番号 |
23K16478
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
友岡 清秀 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (90804708)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 月経前症候群 / 東洋医学 / 証 / セルフケア / ランダム化比較試験 |
研究実績の概要 |
本年度は、就労女性における月経前症候群(Premenstrual syndrome: PMS)の東洋医学的な証の分布を明らかにするため、某医療・福祉法人に勤務する18~45歳未満の女性を対象に、Webアンケート調査を実施した。PMSの評価はPMDs症状スクリーニング票を用いた。東洋医学の証の評価は東洋医学健康調査票を用いた。その結果、1183名(平均年齢32±7歳)から回答を得た。このうち、PMSを有さない者(正常群)は921名(77.9%)、中等度以上のPMSがあり未治療の者(PMS群)が225名(19.1%)、PMSの治療中の者(治療群)は37名(3.1%)だった。東洋医学の証について、八綱弁証では、実証・虚証・熱証、気血津液弁証では、気虚・気滞・血虚・血お・津液不足・津液停滞、五臓の病証では肝・心・脾・肺・腎で、正常群、PMS群、治療群において各スコアの平均値に有意な差が認められた。いずれの証においても、正常群が最もスコアが低く、次いで治療群、そしてPMS群が最もスコアが高かった(P<0.05)。本調査より、某医療・福祉法人に勤務する女性の約20%が中等度以上のPMSを有し、かつ未治療であることが明らかになった。また、PMSやその治療の有無により、東洋医学的な病態が異なる可能性が示された。 尚、本年度は、2022年に大学生等の異なる集団を対象に行った調査のデータを用い、第73回日本東洋医学会において「成熟期の女性における月経前症候群の東洋医学的病態の分布」を発表した。また、第41回日本東洋医学会において「月経前症候群の東洋医学的病態の分布における年齢の影響」ならびに「成熟期女性における寒熱の病態と月経前症候群の関連」を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、就労女性における月経前症候群(Premenstrual syndrome: PMS)の東洋医学的な証の分布を明らかにするため、某医療・福祉法人に勤務する18~45歳未満の女性を対象に、Webアンケート調査を実施した。研究計画当初は、500名を目標に調査を実施したが、結果として約1,200名から回答を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、本年度に実施したアンケート結果をもとに、ランダム化比較試験の介入方法やデザインの設計を行い、年度内に小規模なパイロットスタディを実施する予定である。また、2025年度のランダム化比較試験はすべてのプロセスをオンラインで実施するため、2024年度中に、その基盤となるホームページ等のシステムを構築する。 また、本年度の調査では、月経前症候群や東洋医学の証だけではなく、月経の症状に関する詳細な調査や、労働生産性やワークエンゲイジメント、月経に伴う消化器症状の変化等についても調査を行っており、これらについても分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、Web調査のホームページ開発費用について、ホームページ制作業者との交渉により想定以上に安価で実施することができたため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額については、2024年度以降に設計する介入研究のホームページの開発等に充当する予定である。
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