研究課題/領域番号 |
23K16497
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
麻生 保子 和洋女子大学, 看護学部, 教授 (80509646)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 共通の目標の設定 / 組織を超えた情報共有 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ため込み症を抱えた本人・家族、近隣住民に向けた相談機能の強化と、研究結果の報告を通して本疾患への理解促進、それによる早期対応が可能となる地域社会文化の醸成である。 2023年度は、ため込み症支援を行う専門職の対応方法の詳細について、オーストラリア、イギリス、アメリカでの実践内容について公表資料を基に文献調査を行った。また、我が国におけるため込み症を支援する際の、多職種連携構築体制整備についてインタビュー調査を行った。その結果、ため込み症を持つ人を支援するには、多職種協働型アウトリーチ対応が必要となるが、現状の我が国の保健医療介護システムにおいて、専門職や組織は苦労しながら手探りで対応している状況が明らかとなった。その中で、多職種協働型アウトリーチ対応の成功には、4つの背景が見い出だされ、具体的には「スタッフ間の必要性の認識」「もともとの組織基盤や信頼関係」「ステップを踏んだアプローチ」「組織だった連携の必要状況の発生イベント」が挙げられた。一方、連携体制を構築できなかった背景には、「組織を超えた情報共有ができない」「共通の目標の設定ができない」などが挙げられた。 今後は、ため込み症対応においても、これまで保健医療福祉の連携構築で培った基盤整備を基に連携が進む事が望まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ため込み症対応先進国でのタスクホースの実際に関する文献調査と、国内でのため込み症への多職種協働型アウトリーチ対応の連携の成功・不成功の背景について整理できた点は、今後の我が国への応用モデル案作成に有益と考える。
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今後の研究の推進方策 |
(ア)ため込み症支援先進国での対応方法に関する調査:ため込み症支援先進国のタスクホースによる実生活への弊害低減方法や多職種協働型アウトリーチ対応、地域住民を巻き込んだ支えあい事業の詳細について資料を確認し、インタビュー調査等を通して支援内容や留意点、各職種の役割についての調査を行う。(イ)我が国への適応性評価:本邦で重層的支援を実施する専門職や、居住支援協議会等での活用可能性や活用の際の留意点等を伺い、汎用性を検討する。(ウ)上記を踏まえ、我が国へ適応可能なため込み症対応ガイドを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費は大学の会計システムのオンライン活用を図ることによりシステム化し節約に努めた。旅費の節約は欧州の政治情勢不安もあり、2023年度は国内の専門職の連携構築体制促進に関する背景を調査し、東アジアの看護職者と国際学会にてディスカッションを行なうに留めた。今後は国際情勢も鑑みながら、本研究の趣旨であるため込み症先進国の対応事例を調査したい。
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