研究課題/領域番号 |
23K16499
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
奥平 倫世 帝京大学, 薬学部, 助教 (80961010)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 嚥下障害 / 服薬補助 / 薬物の溶出 |
研究実績の概要 |
高齢者などの嚥下障害患者において薬を服用する際にとろみ調整剤でとろみをつけた水(とろみ水)を使用することがあるが、とろみ水が薬の溶出に与える影響についてはほとんど報告がない。本研究では、in vitroの溶出試験法を用いて、薬をとろみ水に浸漬することで溶出挙動が変化するのかどうかの解析を行なっている。 これまでにエドキサバン普通錠およびOD錠について、とろみ調整剤の種類、とろみの強さ、錠剤の浸漬時間、溶出試験液のpHについて詳細な検討を行なった。 その結果、エドキサバン普通錠では全ての条件でとろみ水による溶出への影響が見られなかったのに対して、エドキサバンOD錠ではとろみ水への浸漬により溶出が遅延することが明らかとなった。このことから、エドキサバン錠における溶出の遅延は、主成分であるエドキサバンではなく、普通錠またはOD錠のみに含まれる添加剤が原因で起こることが想定される。 また、試験液のpHが高い条件(高齢者や胃酸分泌抑制剤服用患者等の胃酸のpHが高い患者を模倣した条件)では溶出が顕著に遅延することが明らかとなった。この結果は我々の知る限り先行研究では報告がなく、新規の知見であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究として進めていた他の研究について、共著者の転出に伴い申請者が主として研究を進めることになった。2023年度の10-3月は研究論文のリバイスコメントに対する追加実験、再投稿の作業を行なっていたため、本課題研究に充てる時間が短くなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は他の抗凝固薬(リバーロキサバン、ワルファリンK)について、エドキサバンと同様の条件で溶出試験を行う予定である。上記でも述べたように、溶出の遅延は主成分ではなく添加剤が原因と考えられるため、複数の薬剤を試験することで原因となる添加剤を絞り込むことができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の予定支出として液体クロマトグラフィーの消耗品(分離カラム及び装置内部のパーツ)代を計上していたが、2023年度はいずれの消耗品も交換せずに研究を継続することができた。消耗品の劣化は予想することが困難であるため、消耗品代として他の用途には使用せず、2024年度内に使用予定である。
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