研究課題/領域番号 |
23K16500
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
清家 庸佑 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (10827819)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | パーソナルリカバリー / 生活機能 / クリニカルラダー / 作業療法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地域定着支援の拡充に向けて,パーソナルリカバリーを支える支援者を育成するための有効な教育ツールを当事者の声に基づいて開発,効果検証をすることである. 本研究の独自性として,①パーソナルリカバリーの促進を目的においたラダーであること,②ラダー開発に当事者が関わることで当事者性を備えていること,③教育効果の検証を行うことで根拠に基づいた教育ツールの開発が可能になることの3点がある.現在も医療従事者の教育ツールにおいて様々なクリニカルラダーが開発されているが,パーソナルリカバリーの促進を主眼とした内容は稀であると共に,その開発に当事者の意見を反映し,効果検証を行なっているものは皆無であり,本研究の独自性が非常に高い点と言える. 項目プールの作成では先行研究などから5領域(社会的責任,専門的知識,実践技能,マネジメント,協業)57項目の項目プールが作成された.その後の項目妥当性の検証では作業療法士と精神科訪問看護利用者双方からパネリストを募りデルファイ法を行なった.その結果合計3回の検討で最終的に全ての項目が適合基準を満たした(I-CVI全項目0.80以上,S-CVI/AVE 0.98). 項目決定の段階でサービスユーザーと共同創造を行うことで当事者の経験や価値観をもとにしたニーズを項目に反映することが可能になった.また十分な現場経験を有する作業療法士に調査を行うことで作業療法の専門性に基づいた支援を他職種連携の中で実施するための教育項目が生成された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
R5年度は先行研究に基づく項目プールの作成と,項目妥当性の検証を行なった.妥当性の検証では専門の臨床経験を有する作業療法士と,精神科訪問看護ユーザーの双方からパネリストを募ってデルファイ法を行なった.複数回の検証を重ねることで全ての項目が妥当性を満たす結果となり,本ラダーの項目を完成することができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は本ラダーの項目反応理論に基づくデータ分析を通して各項目難易度の検証を行う. 項目難易度が明らかにされていない現在は,個人目標の設定をセラピスト自身に委ねる方法になっているが,今回項目難易度が明らかになることで,そのセラピストの現在のスキルをもとに直近に獲得することが可能と思われる,自身のスキルに応じた目標課題の提案が可能になることが期待される.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度では調査協力施設と調査協力者の確保を行なった.研究開始前には各施設での説明会などを行なった上で調査を開始するが,2023年度中には全ての施設で説明会を行うことができずに2024年度の実施に持ち越す施設が生じた.そのために2023年度中の交通費が減額となり,2024年度使用額が生じた.2024年度は本クリニカルラダーの試験運用を行うにあたって,協力施設に資料配布や開始前,経過途中でヒアリング調査などを行うことを予定している.その際の資料作成費用や現地までの旅費で助成金使用を予定している.
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