研究課題/領域番号 |
23K16553
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
根本 慎司 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (30963607)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 筋酸素飽和度 / 下肢筋力 / 下肢筋持久力 / 運動耐容能 |
研究実績の概要 |
全身持久力の指標である最高酸素摂取量は、活動筋における筋酸素利用能に強く規定される。運動中の筋酸素飽和度の変化は、筋酸素利用能の一部を反映するといわれており、運動中の筋酸素飽和度の低下が大きいことは、高い筋酸素利用能を呈することを示唆する。我々は、健常若年男性を対象として、自転車エルゴメータによる心肺運動負荷試験中の筋酸素飽和度の変化と、下肢筋力および下肢筋持久力との関連を検討した。健常若年男性24例を対象とし、等速性筋力測定装置を用いて、下肢筋力および下肢筋持久力を測定した。対象者を下肢筋力および下肢筋持久力の両者が中等度以上に保たれている対照群(13例)と、下肢筋力と下肢筋持久力のいずれか、もしくはその両方が低下している対象者群(11例)に群分けした。また、全対象者において、筋酸素飽和度計を右下肢に装着した上で、自転車エルゴメータによる心肺運動負荷試験を実施し、安静時から漸増運動時にかけての筋酸素飽和度の変化を測定した。その結果、下肢筋力と下肢筋持久力の両者が中等度以上に保たれている対象者群は、下肢筋力と下肢筋持久力のいずれか、もしくはその両方が低下している対象者群と比べて、中等度から高強度の運動負荷における筋酸素飽和度の低下が有意に大きかった。したがって、健常若年男性において、下肢筋力と下肢筋持久力の両者を高く保つことは、高い筋酸素利用能の保持に寄与する可能性があることが明らかとなった。本研究成果は、下肢筋酸素利用能の改善に最適な骨格筋トレーニング方法の確立の一助となると考える。今後は、同研究内容を心不全患者を対象として実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心不全患者を対象として、心肺運動負荷試験中の筋酸素飽和度の変化と下肢筋力および下肢筋持久力との関連について検討する予定であるが、当初想定していたよりも研究倫理の審査に時間を要した。さらに研究対象者に合致する症例が当初想定していたよりも少なかったため、本研究課題の進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、健常若年者を対象とした検討を中心に実施してきたため、令和6年度は心不全患者を対象とした心肺運動負荷試験中の筋酸素飽和度の変化と下肢筋力および下肢筋持久力との関連についての研究を進めていく予定である。なお、本研究課題の進捗状況はやや遅れている現状であるため、当初予定していた介入研究は実施せずに、令和6年度と令和7年度で心不全患者を対象とした心肺運動負荷試験中の筋酸素飽和度の変化と下肢筋力および下肢筋持久力との関連についてを横断的に検討し、研究成果を海外での学会発表や国際誌では発表していく予定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した筋酸素飽和度計測器MOXYの価格が予算申請した時期よりも安価になっていたため,差額が生じた.差額については,次年度以降の英文校正費,論文出版費,学会参加のための参加費や旅費交通費などに使用する予定である.
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