高齢者における転倒は自立性を喪失させ、生活の質を低下させる重大イベントである。近年の高齢化、特に後期高齢者人口の増加とともに、自宅周辺での転倒が増加している。転倒は運動機能など、個人の内的要因とともに、その個人が暴露する環境要因によって引き起こされる。しかしながら転倒発生につながる環境要因を評価するための尺度について、日本の住居構造に即した評価尺度は未確立であったため、本研究ではまず日本の住居構造に即した環境要因の評価尺度構築を行った。在宅医療・介護に関わる専門職111名へのアンケートにより評価項目の内容妥当性を検討するとともに、30戸の高齢者宅を対象に、専門職と非専門職で同じ家屋を評価してその検者間信頼性を検討した。内容妥当性と検者間信頼性が担保できた42項目を最終版として日本の住居構造に即した自己評価式の評価尺度を開発した。評価尺度開発にかかる論文は現在執筆中である。学会発表は日本転倒予防学会第10回学術集会にて実施済みである。 既に研究協力機関とフォローアップデータの収集に向けて話し合いを進めており、2024年度にフォローアップデータの収集を進められる状況を整えている段階である。
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