研究課題/領域番号 |
23K16627
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研究機関 | 岐阜保健大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓介 岐阜保健大学, リハビリテーション学部, 講師 (50783750)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 糖尿病性末梢神経障害合併2型糖尿病患者 / 靴療法 / 音刺激 / 運動療法 / 最大足底圧 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は糖尿病性末梢神経障害合併2型糖尿病(DPN)患者に対して音刺激を用いた運動療法と靴療法を組み合わせたハイブリッド療法により、足潰瘍予防に対する効果を明らかにすることである。 令和5年度はDPN患者への介入として音刺激を用いた運動療法と靴療法を組み合わせたハイブリッド療法が歩行中の最大足底圧の軽減効果を明らかにするために、健常成人(40名)を対象に検討を行った。対象者は通常の靴を履き、自己快適歩行速度で歩行をする条件(コントロール条件)と、糖尿病専用靴は履き、自己快適歩行速度のテンポに合わせたメトロノーム音を聞きながらの歩行をする(ハイブリッド条件)2条件で測定を行った。測定は10m歩行テストを実施し、歩幅、歩行速度、身体の重心動揺、最大足底圧を算出した。各条件間の比較として対応のあるt検定を実施した。 その結果、コントロール条件とハイブリッド条件それぞれ、歩幅(0.72±0.08m、0.69±0.12m、p=0.11)歩行速度(1.31±0.23m/sec、1.26±0.30m/sec、p=0.14)、身体の重心動揺(6.25±1.81m/sec2、6.29±1.85m/sec2、p=0.84)と有意差を認めなかった。しかし最大足底圧では母趾(11.05±5.30、8.71±4.43、p<0.05)、踵(20.90±5.09N、17.04±3.17N、p<0.05)にてハイブリッド条件にて有意に低値を示した。 以上のことから音刺激を用いた運動療法と靴療法を組み合わせたハイブリッド療法により最大足底圧を軽減させることが可能であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度に実施予定であった研究機材の取得や健常者に対するハイブリッド療法の効果について確認できたことは成果と捉えている。しかしDPN患者に対しての足圧減弱効果について検証できていないため次年度への課題となった。令和6年度はDPN患者に対してハイブリッド療法による歩行中の最大足底圧の減弱効果を明らかにした後、足潰瘍予防の効果について明らかにしていく。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は研究協力施設でDPN患者を対象とした音刺激を用いた運動療法と靴療法を組み合わせたハイブリッド療法による、足潰瘍予防に対する効果検証を行う。まず、ハイブリッド療法により最大足底圧の軽減効果について比較検証を行う。その後、ハイブリッド療法の介入を1年間実施する。評価は介入前、運動指導後1-2か月ごとに歩行速度、歩行中の身体動揺性、最大足底圧を測定する。また、胼胝や亀裂などの足底部異常所見や足潰瘍の発生率について評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画当初の購入予定であった足圧測定機器について次年度に研究協力施設に配置を予定しているため、予定の物品費よりも物品費が低くなったことが一番の理由である。 今年度は研究協力施設でデータ測定時に使用予定である、足圧測定機器の購入ならびに対象者への介入時に使用予定である糖尿病専用靴、電子メトロノームと歩数計を購入予定である。 また、令和5年度に行った研究成果公表のための旅費や論文投稿料ならびに校正費などに使用していく予定である。
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