研究課題/領域番号 |
23K16648
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
小泉 浩平 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (60867274)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 美容師 / 理容鋏 / 体外動力支援 / 筋電図 / 動作解析 |
研究実績の概要 |
美容師らの鋏動作の分析では,手関節背屈位角度の増大,鋏開閉速度が上がると開閉動作中に手指の筋負荷が高まる.鋏操作を運動学的に最適化して美容師の作業関連の障害を防ぐには,負荷の高い作業中の筋活動と筋動員パターン,効率の良い手指運動の支援を理解することを要し,これらは骨格系の障害予防に有効な参考値となり得る. 本年度は,美容師を対象とした鋏操作の動作解析に先立ち,性差による鋏操作時母指運動作用の違いを筋電位および周波数解析を用いたプレスタディを実施した.若年女性および男性を対象とし,連続した鋏開閉動作時の母指球筋,前腕筋の筋電位を測定した.振幅確率密度関数(Amplitude Probability Distribution Function)解析による手法で,前腕・手指における筋負担を検証したところ,いずれの対象筋においても男性群で筋負担は高かった.筋負荷量は,低出力~高出力域に至るまで同様の傾向を示した.また,先に開発した理容挟に装着した動力支援装置による,母指負担軽減効果を周波数解析で検証した.その結果,通常理容鋏に対して動力支援装置付き鋏は,連続理容による男性の母指負担において疲労軽減効果を認めた.これら知見により,性差による筋出力作用の違いが明らかとなり,動作解析および負担軽減方略のベースラインとして利用可能となった.研究解析の参照値に追加して精度を高める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
鋏操作を動作解析するためのアプリケーション開発に時間を要しているため.ただし,基礎データとして,性差により異なる筋出力特性の検証を実施し,研究進捗の遅れは最小にとどめている.
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今後の研究の推進方策 |
鋏操作時の手指動作解析システムは,動作解析用カメラとアプリケーションで構成する.実験時に使用する理容鋏,理髪用マネキンの準備をすすめており,解析システムを併用した環境を構築し,鋏操作の筋負担および動作解析による検証を行う計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
開発中の動作解析アプリケーション導入が遅延したことにより,研究に遅れが生じたためであり.次年度は,実験プロトコル,データ取得環境が構築され次第,機器整備を進める予定.実験遂行のために物品費,研究結果を発表するための英文校閲費および論文掲載費を予定している.
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