研究課題/領域番号 |
23K16695
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横川 拓海 京都大学, 農学研究科, 助教 (80844323)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 脳 / 脂肪細胞 / 学習 / 不安様行動 |
研究実績の概要 |
本年度は、脳機能に対する脂肪組織の寄与を明らかとするために、脂肪細胞欠損マウスの行動解析ならびに生化学解析を実施した。Hmgcr-floxマウスとAdipoq-Creマウスを掛け合わせ、Hmgcr-flox/flox; Adipoq-Cre(Fatless)マウスを作出した。同腹のHmgcr-flox/floxマウスを非欠損コントロール(Con)として用いた。10週齢以降で各組織重量を測定したところ、Fatlessマウスにて白色・褐色脂肪組織の顕著な減少が確認された。脂肪細胞の欠損が脳機能に及ぼす影響を明らかとするために、2-3月齢のConならびにFatlessマウスを用いて、オープンフィールド試験、高架式十字迷路試験、Y迷路試験、バーンズ迷路試験を実施した。その結果、オープンフィールド試験および高架式十字迷路試験において、Fatlessマウスは不安様行動の増大を示した。また、バーンズ迷路試験では、Fatlessマウスにおける空間学習能力の低下が観察された。一方、ワーキングメモリーの指標であるY迷路試験における自発的交替行動に関しては、遺伝子型間で統計学的に有意な差は観察されなかった。脂肪細胞の欠損による不安様行動の増大、空間学習能力の低下の分子機序を探索するために、関連脳領域の遺伝子発現解析を実施した。その結果、前頭前皮質において、神経活動マーカーならびにシナプス分子の遺伝子発現量の低下が観察された。また、視床下部においては、神経活動マーカーの遺伝子発現量の低下とともに、メラノコルチン経路の異常が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪組織-脳連関に関する知見を得るために、脂肪細胞欠損マウスの行動解析を行い、不安様行動ならびに空間学習能力との関係性を見出すことができた。また、行動解析の結果と関連した分子レベルの知見を生化学解析によって得ている。以上より、進捗状況を「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、Fatlessマウスの解析を継続する。うつ様行動に対する脂肪組織-脳連関の関与を検証するために、強制水泳試験、尾懸垂試験、糖嗜好性試験を実施する。また、海馬をはじめとして学習・情動に関わる脳領域の解析を進め、分子機序を探索する。 加えて、Fatlessマウスに対する運動介入実験を開始する。ランニングホイールを用いた自発性走運動介入を数週間施した後、行動解析および生化学解析を行い、運動による脳機能亢進に対する脂肪細胞の寄与を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
運動介入を施していない状態のFatlessマウスにおいて顕著な表現型が観察されたため、本年度はその詳細な検証に時間を割いた。それに伴い、本格的な運動介入実験を次年度に実施することとしたため、使用額の変更が生じた。
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