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2023 年度 実施状況報告書

トレーニング効果の最大化と疲労の最小化を両立させるコンカレントトレーニングの確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K16698
研究機関北海道科学大学

研究代表者

苫米地 伸泰  北海道科学大学, 全学共通教育部, 講師 (40828240)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードコンカレントトレーニング / 速度基準の筋力トレーニング / 持久的トレーニング / 反復スプリントトレーニング / 筋パワー
研究実績の概要

筋力トレーニングと持久的トレーニングを組み合わせたコンカレントトレーニング(以下,CON)には,持久的トレーニングの阻害効果により,筋力トレーニングのみを実施した場合と比較して瞬発的能力への効果が低くなることと,疲労の蓄積を助長するという問題点が存在する.しかし,これらの問題点を解決する方法論は確立されていない.トレーニング効果の最大化と疲労の最小化を両立させるCONの確立を目指し,2023年度は,CONにおける持久的トレーニング,すなわち反復スプリントサイクリングトレーニング(10秒全力漕ぎ×10セット,以下,RSCT)の休息時間の違いが筋疲労(1回目のトレーニング前と終了後のジャンプパフォーマンスの変化)および6週間・計12回のトレーニング効果に及ぼす影響を検証した.その結果,瞬発的能力を高めるためのコンプレックストレーニング(スクワット+カウンタームーブメントジャンプ,以下,COM)のみを実施する群(以下,CT群)においては,筋疲労が誘発されなかった.一方で,CT群と同じトレーニング+RSCTを30秒休息で実施する群(以下,30秒群)とCT群と同じトレーニング+RSCTを60秒休息で実施する群(以下,60秒群)では筋疲労が生じた.筋疲労の程度の大きさについては,30秒群と60秒群はCT群と比較して有意に大きかったが,30秒群と60秒群の間に有意差は認められなかった.瞬発的能力の指標として測定したスクワットの最大挙上重量とジャンプパフォーマンスは,トレーニング期間前後において全ての群で有意な向上が認められたが,増加率は群間で有意差は認められなかった.これらの知見から,CONにおけるRSCTの休息時間は筋疲労の程度の大きさに影響を及ぼさないこと,さらに休息時間に関わらずRSCTを用いたCONはCOMの瞬発的能力向上効果を阻害しないことが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度内で被験者30名分のトレーニング研究(6週間,週2回)を完遂出来たため,おおむね順調に進んでいると判断した.ただし,全てのデータ分析が完了しているわけではないため,今後分析,学会発表および論文投稿を進めていく予定である.

今後の研究の推進方策

当初の予定では,2024年度はコンプレックストレーニング(スクワット+カウンタームーブメントジャンプ)のみを実施する群(以下,CT群),CT群と同じトレーニング+5秒の全力ペダリングを用いた反復スプリントサイクリングトレーニング(5秒×20セット)を実施する群,CT群と同じトレーニング+10秒の全力ペダリングを用いた反復スプリントサイクリングトレーニング(10秒×10セット)を実施する群の筋疲労および6週間計12回のトレーニング効果を比較する予定であった.しかしながら,CT群,CT群と同じトレーニング+体重の7.5%の負荷を用いた反復スプリントサイクリングトレーニング(30秒休息を挟みながら,10秒全力ペダリング×10セット)を実施する群(以下7.5%群),CT群と同じトレーニング+体重の10%の負荷を用いた反復スプリントサイクリングトレーニング(30秒休息を挟みながら,10秒全力ペダリング×10セット)を実施する群(以下10%群)の筋疲労および6週間計12回のトレーニング効果を比較する形で研究を進めることに変更予定である.理由は,予備実験のピーク到達時間の結果から,5秒間の全力ペダリングではピークに到達する前にトレーニングが終了してしまい,反復スプリントサイクリングトレーニングの効果が十分に得られないことが示唆されたためである.先行研究では,反復スプリントサイクリングトレーニングにおける負荷の相違も筋疲労およびトレーニング効果に影響を及ぼす変数であることが報告されている.したがって,これらの変更は本研究の目的から逸脱しておらず,合目的的と考えられる.

次年度使用額が生じた理由

トレーニング研究期間中に所属している部活動の練習・試合等で負傷し,全ての実験を完遂出来ない被験者がいたため,謝金の支払い額が当初の予定から若干少なくなった.そのため,若干の余剰が生じた.しかしながら,金額はわずかであり,必要機器は購入出来たため,概ね計画通りに予算を執行出来たと考えられる.次年度は予定通り,主に被験者への謝金支払いを中心に予算を執行する予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 3週間・合計9セッションの反復スプリントサイクリングトレーニング期間におけるペダリングパフォーマンスと下肢部位別主観的運動強度の変化2023

    • 著者名/発表者名
      苫米地伸泰,中澤翔,奥原尚之,青木稜
    • 雑誌名

      Strength & conditioning journal : 日本ストレングス&コンディショニング協会機関誌

      巻: 30(8) ページ: 14-20

    • 査読あり
  • [学会発表] 速度低下閾値の異なるベンチプレスが総負荷量に及ぼす急性効果2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤僚将 , 苫米地伸泰 , 千葉至 , 井野拓実 , 秋野禎見
    • 学会等名
      第12回日本トレーニング指導学会大会
  • [学会発表] 大学男子野球投手における球速とジャンプパフォーマンスとの関係 -軸脚と踏込脚の機能の差異に着目して-2023

    • 著者名/発表者名
      久保 誠司 , 苫米地伸泰 , 笠原政志 , 古城隆利 , 辻孟彦 , 竹田幸成 , 和田直樹 , 河野徳良
    • 学会等名
      第12回日本アスレティックトレーニング学会学術大会

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公開日: 2024-12-25  

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