研究課題/領域番号 |
23K16714
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研究機関 | 愛知みずほ大学 |
研究代表者 |
刑部 純平 愛知みずほ大学, 人間科学部, 助教 (70844926)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 深部体温 / ラクロス / 身体冷却 / 日射遮蔽 / 熱中症 / 暑熱対策 |
研究実績の概要 |
夏季スポーツ活動時における暑熱対策は、アスリートを熱中症の恐怖から守るために重要である。暑熱対策効果を明らかにするためには、深部体温の測定が必須である。本研究で用いる「CORE」は非侵襲的に深部体温を測定・推計することができる。本研究では、暑熱環境下で競技中の男子ラクロス選手を対象に「CORE」を用いて暑熱対策効果を明らかにすることを目的としている。そこで、初年度は、2つの予備実験を実施した。①夏季の屋外での走運動時に直腸温とCOREを同時に測定し、COREによる深部体温測定の妥当性を検証した。②男子ラクロスを想定した走運動時におけるアイスタオルを用いた身体冷却効果を検証した。予備実験①では、走運動(時速約10km、40分間)の経過に伴い、深部体温(直腸温・CORE)が上昇した。直腸温の値とCOREの値は概ね同様の推移を示した。直腸温の最高値は38.51度であり、COREの最高値は38.42度であった。予備実験②では、室温35度、湿度50%に設定した人工気象室内でトレッドミルを用いて男子ラクロスの試合を想定した走運動を実施した。10分間のハーフタイムブレイク中にアイスタオル(氷水の入ったバケツにタオルを入れ、濡れたタオルを身体へ移動する方法)を用いた身体冷却(頭部、大腿部、下腿部)を実施し、直腸温などの生理的指標の変化を測定した。その結果、アイスタオルを用いた身体冷却を実施することで、身体冷却を実施しない場合と比較して、ハーフタイム終了時の直腸温が約0.2度低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の序盤は、研究機関の移動に伴い研究環境の整備に努めたため、実験の開始にやや遅れが生じたが、以下の理由により本研究課題は概ね順調に進展していると考えている。 初年度は2つの予備実験を実施した。1つ目の予備実験として、夏季の屋外における走運動時に直腸温とCOREを用いた深部体温測定を同時に実施し、COREを用いた深部体温測定の妥当性について検証することができた。また、2つ目の予備実験として、人工気象室内で男子ラクロスを想定した模擬走運動時のハーフタイムブレイク中にアイスタオルを用いた全身冷却による身体冷却効果を検証した。研究デザインの妥当性や手順、アイスタオルを用いた身体冷却効果を確認することができた。したがって、次年度以降は、計画通りに実験を進める準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度に実施予定の実験内容を以下に示す。①暑熱環境下での男子ラクロスの試合を想定した走運動時のハーフタイムブレイク中のアイスタオルを用いた身体冷却効果について検証する(初年度に実施した予備実験の本実験)。研究対象者は、運動習慣のある男子大学生10名とする。室温35度、湿度50%に設定した人工気象室内で、模擬男子ラクロス走運動を実施する。10分間のハーフタイムブレイク中にアイスタオルを用いた身体冷却を行う条件と身体冷却を実施しない条件を設定し、ランダムな順番で2施行を実施する。深部体温(直腸温、CORE)、皮膚温、心拍数などを測定し、身体冷却効果を検証する。アイスタオルによる身体冷却効果が認められた場合、2025年度に屋外で実際にラクロス競技をする選手を対象にアイスタオルを用いた身体冷却効果を検証する。 ②暑熱環境下の屋外で競技をする男子ラクロス選手の深部体温の実態調査を行う。研究対象者は、大学生男子ラクロス選手10名程度とする。練習の前後に直腸温を測定する(練習中の連続的な直腸温測定は、侵襲度が高く測定困難である)。また、練習中に「CORE」を用いて深部体温を測定する。本研究によって得られた深部体温のデータを基準として、男子ラクロス競技中における暑熱対策の意義について検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、当該年度に購入を予定していた物品費に変更があったことが挙げられる。繰り越した金額については、次年度の物品購入費用として使用する予定である。
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