研究課題/領域番号 |
23K16718
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 謙也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (40909917)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 乳酸 / 糖原病 / 骨格筋 |
研究実績の概要 |
本研究は、はじめに骨格筋型の乳酸脱水素酵素をコードしている遺伝子 (lactate dehydrogenase A: LDHA) を欠損したXI型筋糖原病の病態を解明し、生体内における乳酸の役割を明らかにすること、そして、XI型筋糖原病に対する介入方法について検討することを目的とした。本年度は、ゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9を用いたi-GONAD法により、LDHAを欠損したモデルマウスの作成に取り組んだ。具体的には、卵管内にある受精0.7日目後の受精卵 (1細胞期胚) にゲノム編集試薬 (gRNAおよびCas9タンパク質)を注入し、エレクトロポレーション法によって、受精卵のゲノム編集を行った。その結果、一部の身体部位のみLDHAを欠損したモザイク型欠損マウスの作成に成功した。その後、LDHAのモザイク型欠損マウスと野生型マウスの交配を行い、LDHAのヘテロ欠損型マウスを入手した。しかしながら、LDHAのヘテロ型マウス同士の交配を繰り返してもLDHAホモ欠損型マウスが生まれてこないこと、すなわち胎生致死となることが明らかとなった。そのため、LDHAのヘテロ欠損型マウスを対象に検討を行った。はじめに、LDHAのヘテロ欠損型マウスにおける骨格筋の乳酸脱水素酵素活性が、有意に低下していることを確認した。骨格筋のエネルギー産生に関与する解糖系酵素活性およびミトコンドリアの酵素活性を測定したが、遺伝子型による影響は認められなかった。現在は、LDHAのヘテロ欠損型マウスの運動パフォーマンスや運動時のエネルギー代謝について測定し、遺伝子型による表現型への影響について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LDHAのヘテロ欠損型マウスを作成し、骨格筋の乳酸脱水素酵素活性が低下していることを確認することができた。しかしながら、本研究で対象とする予定であったLDHAのホモ欠損型マウスの作成に至っておらず、新たな遺伝子操作手技の導入について検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
CRISPR/Cas9を用いたi-GONAD法では、LDHAを完全に欠損させたモデルマウスの作成は困難であることが明らかとなったため、他の遺伝子操作手法の導入を検討していく。LDHAのヘテロ欠損型の遺伝子を持つ日本人の存在が報告されていることから、この遺伝子型の病態解明についても進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
LDHAを完全に欠損させたモデルマウスを対象とした分析に予算を計上していたが、モデルマウスの作成に難航しており、分析が遅れているため次年度使用額が生じた。今後は、他の遺伝子操作手法の導入検討やLDHAのヘテロ欠損型マウスの解析のために予算を使用する予定である。
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