研究課題/領域番号 |
23K16731
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小野 雄大 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 講師 (60779271)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | スポーツ推薦入試 / 大学スポーツ / 高等教育 / メリトクラシー / 計量的分析 / 選抜 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本社会において大学のスポーツ推薦入試が受容され、拡大した論理を明らかにすることを目的としている。初年度にあたる2023年度は、文献研究を中心として、主に以下の課題に取り組んだ。 1つ目に、文部省が「昭和64年度大学入学者選抜実施要項」において初めて「スポーツ活動の適切な評価」について明示をした1988年から2022年までの時期に主眼を置いて、スポーツ推薦入試成立後の拡大過程を明らかにした。これにより、スポーツ推薦入試は、大学設置基準の大綱化や入試の多様化、さらには体育・スポーツ系学部の設置増加といった大学教育をめぐる社会状況を背にしながら拡大していったことが浮き彫りとなった。 2つ目に、全国の大学の「2023年度スポーツ推薦入試入学試験要項」の分析を通して、2023年度のスポーツ推薦入試の計量的な実態を明らかにした。具体的には、実施率や入試内容の詳細、大学の選抜度と競技実績要件の相関関係などに着目した。これにより、これまで明確には整理されてこなかったスポーツ推薦入試の制度的特質を見出すことができた。 以上のように、2023年度はスポーツ推薦入試の現代的展開の実態解明と整理に努めた。これまでの研究では、大学のスポーツ推薦入試の具な実態について十分には明らかにされてこなかった。こうした点からも、2023年度の取り組みでは、大学教育と競技スポーツの関係を考える上で、新たな成果を挙げることができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに進展している。スポーツ推薦入試の入学試験要項の収集と分析に早期から取り組んでいたため、計量的分析や考察・記述を順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の取り組みで得た成果は、学会誌の原著論文ならびに著書にまとめて国内外に発表していく。 そして、2024年度以降は、インタビュー調査を中心として、スポーツ推薦入試に関わる多様なアクターの実態を多角的に分析していく。2024年度は、スポーツ推薦入試入学者に焦点を当て、スポーツ推薦入試と大学教育の関係性を深く考察していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、2023年度の後半からスポーツ推薦入試入学者のインタビュー調査を実施する予定であった。しかし、適切な調査実施時期を再検討した結果、次年度以降の調査開始へと持ち越しをした。そのため、既受領額累計と支出額累計に差額が生じることとなった。
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