研究課題/領域番号 |
23K16763
|
研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
彦坂 幹斗 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 流動研究員 (70966051)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 経頭蓋磁気刺激 / 脊髄損傷 / 両手運動 |
研究実績の概要 |
本研究では、運動野マッピングを迅速かつ高精度で描出することが可能な独自開発の計測システムを用いて、両手協調運動に関わる神経基盤を明らかにすることを試みた。2023年度は、新たに頚髄損傷者14症例の皮質脊髄路の興奮性(脳-脊髄-筋間の運動指令の経路)の評価を実施した。これまで計測したデータ合わせて、24症例のデータを集約することで、頚髄損傷者でも随意運動(発揮)中に、運動皮質の興奮性が変化することが分かってきた。さらに、随意運動による皮質脊髄路の興奮性の変化は、日常生活動作とも関連している傾向が認められた。これらの結果は、臨床現場で良く行われる運動や感覚の検査結果では明確に判断することができない「潜在的に機能している僅かな残存運動」を評価できる可能性があり、リハビリテーションの予後予測として有用な指標となるだけでなく、ヒト神経回路の解明の一助となる可能性があると考えられる。今後は、上肢機能の左右差に着目し、両手協調運動に関わる神経基盤の抽出を試みる。これらの研究成果は、国内学会発表しており、詳細な研究成果は論文として取りまとめ、投稿準備中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに収集したデータの取りまとめによって、国内での学会発表を実施した。健常者データに加えて、頚髄損傷者の運動野マッピングを取得できたことで、更なる研究の発展に結びついたと考えられる。以上のことから、2023年度の進捗状況は、「おおむね順調に進展している」と判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、健常者及び障害者(肢体不自由)の運動野マッピングと皮質脊髄路の興奮性を計測し、両手協調運動に関連する神経基盤について追及する(目標被験者数:健常者16名、脊髄損傷者16名)。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、新型コロナウイルスの影響により、想定していた人数の実験参加者を確保できなかったため、必要な物品費、人件費・謝金に残額が生じた。2024年度は、想定していた実験参加者を確保できるように、データ計測を行う予定のため、物品費と人件費・謝金へ経費を充当する。旅費、その他の経費は、2024年度参加予定の国際学会参加費や英語論文の校正費、論文投稿費へ使用予定である。
|