研究課題/領域番号 |
23K16773
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
神田 努 鳥取大学, 医学部, 助教 (50791430)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 活性イオウ種 |
研究実績の概要 |
活性イオウ種の生産が少ないCARS2ヘテロ欠損マウスを用いて、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を投与しその酸化ストレスによりIBDを誘導するための条件を検討した。その際、体重の増減及び血便の有無を指標としたが、今まで通りの3%MSMを5日間投与すると、その後に水を与えた対照群の死亡率が高かったため、DSS投与濃度及び投与期間について再検討し、体重減少や血便は認められるが、死亡率は低く抑えられる条件を決定した。また、DSSによるIBD誘導後に、活性イオウ種の材料であるメチルサルフォニルメタン(MSM)を投与して症状の改善を試みた。その際、MSMの保留量が限られていたため、2.5%を1週間投与する条件のみに絞って検討した。その結果、MSMの投与により、DSSで誘導された体重の減少に軽減効果が確認された。さらに、MSMの効果を液体クロマトグラフィー(LC)-質量分析機(MS)で評価するために、活性イオウ種の各標準物質の作製及び精製を進め、ほぼ完了した。具体的にはシステイン、グルタチオン、硫化ナトリウム及び亜硫酸水とSodium disulfide (Na2S2)を反応させ、パースルフィイドやポリスルフィドを合成し、その後に、β-(4-hydroxyphenyl) ethyl iodoacetamide (HPE-IAM)により誘導化を行い、安定化させた。そのサンプルをLC-MSによって溶出時間を確認して、各LC画分を得た。最後に各画分の濃度をHPE-IAMの吸光度を検量線とし、決定した。さらに、マウス大腸を回収し、その大腸組織に含まれる活性イオウ種の測定を実施し、測定可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に予定していた、DSS投与の条件検討は完了したが、病理診断的な評価、活性イオウ種や酸化ストレスマーカーの測定は未実施である。しかし、次年度に予定していたメチルサルフォニルメタン (MSM)の投与による症状の改善効果が確認できたため、全体的なスケジュールとしてはおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も同様にCARS2ヘテロ欠損マウスを用いて、DSSを投与しその酸化ストレスによりIBDを誘導する系を用い、さらにN数を増やしてデータの信頼性を高める。同時に病理診断的な評価及び比較を行う。さらに活性イオウ種及び酸化ストレスマーカーを測定し比較する。MSMの再入手を行い、さらに高濃度で投与することで治療効果を高めることも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に予定していたマウスシーケンス代の請求が、4月にずれ込んだため、残額が発生した。令和6年4月のマウスシーケンス代に使用する予定である。
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