研究実績の概要 |
今年度は腸管特異的LAT1欠損マウス(LAT1flox/flox ; vil-cre)を用いて、腸管腫瘍を作るApc/Minマウスモデルと交配することによって、LAT1が腸管腫瘍の発現においてどのような役割を果たしているかを検討した。その結果、LAT1欠損マウスでは、controlに比べて腸管腫瘍の数が減り大きさも小さくなることが確認された。またKi67やTUNEL染色を用いて、LAT1欠損マウスにおける腫瘍においては、controlに比べて腫瘍増殖が低下し、アポトーシスに至る細胞が増えていくことも組織学的に証明した。もともとLAT1は小腸陰窩のパネート細胞に多くの発現を認めていたが、腸管特異的LAT1欠損マウスでは小腸のパネート細胞の減少も認め、これによりWnt/βカテニンの発現が抑制され、腫瘍の減少につながったものと考えられ、J Gastroenterolに報告した(Sui, Hoshi, Yoshida et: J Gastroenterol,58:444,2023)。腸管特異的LAT1欠損マウスについては、継続して継代維持している。また肝癌モデルについては、発癌剤であるジエチルニトロサミン(DEN)を生後6週に5ml/kgを単回腹腔内投与し、40週時点評価を行ったが発癌が認められなかった。現在は、DEN 25~100ppmの水を経口から自由飲水として再度作成を行っている段階である。100ppmでは評価段階に至るまでに致死が多くみられたため、25ppmとして今後の組織学的評価を行っていく予定である。
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