研究実績の概要 |
ゲラニルゲラノイン酸(GGA)は肝発癌抑制作用を有する化合物として開発され、その後、ウコンやレモングラスなど薬用のハーブなどに存在する天然の非環式ジテルペノイドのひとつであることが報告された。実際、ヒト肝癌由来細胞株にGGAを添加することによって細胞死が誘導されることが報告されている。 先行研究において、研究代表者はヒト肝癌由来細胞株HuH-7細胞およびHep3B細胞を用いてGGAおよび2,3-ジヒドロ誘導体の2,3-dihydroGGAが安定同位体標識メバロノラクトンから酵素的に生合成されることを示し、GGAがメバロン酸経路から生合成される生理活性脂質であること、および同細胞にスクアレスタチンを添加するとGGAおよび2,3-ジヒドロGGAの生合成量が増加し、スクアレスタチン添加後24時間で細胞死が誘導されることを報告した。 前年度までの研究で、HuH-7細胞およびHep3B細胞において生合成されたGGAは遊離型のもの以外に、細胞TG画分やコレステロール画分ではなく、総リン脂質画分にエステル型で局在していることをTLC分画および質量分析にて見出している。今年度は過去に調製した、HuH-7細胞およびHep3Bから抽出した総脂質をサンプルとして用い、リン脂質ごとの分画を行いホスファチジルコリン(PC), ホスファチジルエタノールアミン(PE)の両画分にGGAが局在する可能性を見出した。しかしながら、細胞総脂質を分画せずにアルカリ加水分解したときの「エステル型GGA量」と比較するとPC, PE画分から検出できたGGA量は1/8程度しかなく操作手順のいずれかの段階で喪失している可能性があるため改善、および再現性の確認が必要であると考える。
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