研究課題/領域番号 |
23K16808
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
治郎丸 卓三 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (50889269)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸腰筋 / 筋活動 / 歩行 / 立脚期後半 / 床反力 / 前方成分 / 推進力 |
研究実績の概要 |
本研究では、腸腰筋が歩行の立脚期後半において推進力を発生させる際の役割を解明することを目的としている。特に、この筋肉の活動が地面を蹴る力(床反力)とどのように関連しているかについて詳細に調査した。そのために、踵が床面に接地してからつま先が離地するまでの2歩間で、ジャンプするか、ジャンプしないかの2種類の運動パターンを設定した。これらの課題は、被験者の身長の30%、50%、70%、90%の異なる4つの歩幅で行われ、各条件で立脚期後半に股関節の屈曲を制御(股関節が屈曲運動しないように)する運動と自然に屈曲させる運動の両方を実施した。 研究の進行は、機器の修理と調整による遅れから、計画されていた被験者数のうち10名分のデータのみが取得可能であった。しかしながら、全ての被験者で適切な腸腰筋領域の存在を確認し、課題中の腸腰筋の表面筋電図を測定することができた。 初期のデータ分析によると、立脚期前半及び後半において腸腰筋の活動が顕著に増加する傾向が観察された。特に立脚期後半で股関節の屈曲を制御した状態でも、床反力の前方成分が増加すると腸腰筋の活動も増加した。これは、腸腰筋が歩行時の重要な推進力源であることを示している可能性がある。この結果は、腸腰筋の活動が歩行効率を高めるための重要な機序であることを示唆しており、さらに詳細な研究の価値があることを強調している。 今後はデータ量を増やし、腸腰筋の活動が歩行パターンや床反力にどのように影響を与えるかをさらに詳細に分析する計画である。これにより、腸腰筋の活動が運動機能の改善やリハビリテーションの効果をどのように向上させるかについての理解を深めることが期待される。また、将来的にはこの研究成果を基に、腸腰筋をターゲットとした新たな治療法やトレーニング方法の開発に貢献することも目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は腸腰筋が歩行の立脚期後半においてどのように推進力を発生させるかを解明することを目的としている。運動課題を通じて腸腰筋の活動と床反力との関連を詳細に調査する計画であったが、今年度はいくつかの予期せぬ課題に直面し、計画していた30名の被験者からのデータ取得が10名分にとどまり、進捗がやや遅れている状況である。 遅延の主な原因は、研究に使用する主要な機器の故障とそれに伴う修理および調整の遅れにある。具体的には、腸腰筋表面筋電図電極の貼付領域を測定するための超音波測定機器、および歩行動作を測定するための三次元動作解析用カメラが突発的に故障し、修理業者のスケジュールの都合上、予定よりも長い期間使用できない状況が発生した。これがデータ取得の遅れに直接的な影響を与えた。 また、感染防止対策による研究室内での人数制限や、被験者の健康問題も遅延に寄与した。これにより、計画していた数の被験者を集めることが困難になり、スケジュールの調整が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
これらの問題に対処するため、我々はデータ取得のプロセスを見直し、より効率的なスケジュール管理とリソースの最適化を行っている。具体的には、機器の迅速な修理と定期的なメンテナンスの強化、さらに研究協力者と協力業者とのコミュニケーションを密に取ることで、今後の遅延を最小限に抑える策を講じている。 今後、追加の被験者を確保し、予定していたデータ量を集めることで、研究の目的を達成し、科研費での支援に対する責任を果たすことを強く意識して取り組んでいく。この遅延が将来的に研究成果にどのような影響を及ぼすかについても、慎重に評価し、必要な対策を講じていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度中に予期せぬ機器故障と感染防止対策による制約が発生した。これにより、計画していた30名の被験者からのデータ取得が10名分にとどまり、必要なデータ量の確保ができていない状況である。この遅延の主要な原因として、超音波測定機器および三次元動作解析用カメラの故障が挙げられる。修理と再調整に予定以上の時間が必要となり、計画した研究スケジュールに大幅な遅れが生じた。さらに、感染防止対策による研究室での人数制限が影響し、被験者の募集とデータ収集が困難となっていた。 次年度の科研費の使用計画では、以下の対策を予定している。まず、追加の被験者を確保し、不足しているデータ量を集めることを最優先する。これには、研究室の感染防止対策を継続しつつ、より柔軟なスケジュールで被験者を募集する計画を実施する。次に、機器の迅速な修理と定期的なメンテナンスを行うことで、再び同様の故障が生じるリスクを最小限に抑える。また、機器の修理とメンテナンスには追加の費用や、場合によっては新規設備購入のための費用も予想されるため、これらの費用も次年度の科研費使用額に含める必要がある。 さらに、研究成果の質を確保するために、データ収集の効率化を図るための新たな機器の導入も検討している。これらの投資により、研究の効率と効果を高め、科研費での支援に対する責任を適切に果たすことが可能となると考えている。
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