研究課題/領域番号 |
23K16814
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松林 泰弘 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50793890)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | MASLD / 脂肪肝 / 2型糖尿病 / 心血管疾患 |
研究実績の概要 |
Metabolic dysfunction-associated fatty liver disease(MAFLD)から、新たにMetabolic dysfunction-associated steatotic liver disease(MASLD)の診断基準が2023年に提唱された。当初MAFLDの基準を用いて検討を進める予定であったが、MASLDの基準を用いて検討を進める方針に変更とした。その上で、1:MASLDを診断することは、心血管疾患・大腸癌、乳癌発症予測にどの程度有用なのか。2:性別、閉経の有無によるMASLD発症リスクの相違、及びMAFLD関連の各種合併症発症リスクの相違はどの程度なのか。3:脂肪肝、MASLDの存在と血清sdLDLレベル、他の動脈硬化性指標の関連性はどのようになっているのか。4:MASLDと心血管疾患発症リスクとの関連において、sdLDL、喫煙はどのような役割を果たしているのか。またそれらに性差はあるのか。5:上記を踏まえた脂肪肝患者専用の合併症発症リスクエンジンを確立できないか。 上記の問いについて2023年のは主に以下の点について研究を進めた。 2023年度:sdLDLの他に脂肪肝、動脈硬化性疾患と関連が強く注目されている新たな脂質指標である新規バイオマーカー(LDL-TG、TRL-C)を、人間ドック受診者で同意を得られた者から追加で測定し、解析に活用する方針に変更した。変更した研究内容につき、本学倫理審査委員会に申請を行い、無事承認を得たところである。現在、2024年度のドック受診者を対象にデータを収集中であり、使用する医療ビッグデータベースの作成に努めている最中である。また、既に現時点で解析に使用できるデータを用いて実施した研究成果の一部を2023年の糖尿病合併症学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LDL-TG、TRL-Cといった新たなバイオマーカーも測定できる目途が立ち、それらのデータを使用することでより新規性の高い研究にブラッシュアップできるため、その方針とした。その為、当初の予定よりデータの収集に時間を要することになり、多少の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
新たなバイオマーカーの情報を含めたデータベースの完成後は、データベースに同時に含まれる腹部エコーでの脂肪肝判定の結果を用い、血液生化学データなどを用いた新たな脂肪肝判定indexを統計解析を駆使して作成。同時に、作成したindexの合併症発症予測能の検証を行う予定である。その後、性差を考慮した脂肪肝・MASLDのスクリーニング手法を確立する方向性で進める予定である。最終的にはsdLDL、LDL-TG、TRL-Cなど新たなバイオマーカーも組み込んだ脂肪肝患者に最適な心血管疾患・がん発症予測に関するリスクエンジンを開発し、それら研究成果をまとめ、学会等で発表。また成果の論文化を行い、国際誌に発表する方向性で進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の理由にて主にデータベースの構築面で研究の進行が遅れていることもあり、解析作業やその成果の発表等が予定通りできなかったこと、また新型コロナウイルス感染症の問題もあり国際学会での発表は2023年度も控えたこと等から、次年度使用額が発生した。 今後は、新データベースの構築、アップデート、その解析作業と、学会発表、論文の作成・発表等で必要となる経費に予算を使用予定である。
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